悪徳ホームページ制作業者にだまされないために/株式会社KACHI 取締役 久野⾼司

インターネットがビジネスに欠かせない時代になった今、ホームページ制作の需要は高まり続けています。

しかし、その一方でWEBに詳しくない経営者や個人事業主を狙った悪徳なホームページ制作業者も後を絶ちません。

無料や数百円程度で作れるテンプレートサイトを、あたかもオリジナルであるかのように見せかけ、数十万円から数百万円という高額な制作費を請求するケースが実際に存在します。

こうした被害は今も全国で発生しており、「知識不足」と「信頼感の錯覚」が大きな原因です。

本記事では、約200業種・3000社以上の指導経験を持つマーケティング講師の視点から、悪徳業者を見破るための具体的なポイントと、失敗しない業者選びの考え方を解説します。

信頼できそうな会社だから安心は危険

悪徳業者が巧みに利用するのが「ネームバリューへの信頼」です。電力会社や通信会社の子会社、大手企業グループといった肩書きは、一般的に安心感を与えます。

しかし、名前が有名だからといってホームページ制作の専門性が高いとは限りません。

実際に、テンプレートを少し修正しただけのサイトを高額で納品し、その後の運用や更新はほとんど行われないケースが数多く報告されています。

特にWordPressのテーマやプラグインの更新が放置されていると、セキュリティリスクは急激に高まります。

実際に、更新されていないサイトがハッキングされ、全く関係のない広告サイトへ強制的に転送される被害も起きています。

大手だから安全、名前を知っているから安心、という思い込みは非常に危険です。業者選びでは、肩書きよりも実際の制作実績と管理体制を必ず確認しましょう。

実績と設計思想を必ずチェックする

良い業者か悪い業者かを見極める一つの方法は「制作実績の中身を見ること」です。ここで重要なのは、単に見た目がきれいかどうかではなく、サイト設計の意図がしっかり反映されているかどうかです。

例えば、個人で事業をしているのにプロフィールページがない、顧客のよくある質問が用意されていない、などは致命的な欠陥です。

ホームページを訪れる人は、必ず何らかの疑問や不安を持っています。その場で解消できる情報がなければ、多くの場合は静かに離脱してしまいます。

クレジットカード対応の有無や駐車場の有無など、些細に思える情報でも掲載しておくことが信頼につながります。

制作実績を確認する際は、こうした顧客視点の配慮があるかどうか、そして必要なパーツが適切に配置されているかをチェックすることが大切です。

高額費用の理由と適正価格の見極め方

ホームページ制作費は業者によって大きく異なります。デザイナー、ライター、カメラマン、ディレクター、エンジニアなど複数の専門職が関わる場合は、当然費用は高くなります。

しかし、重要なのは「支払う金額に見合う価値があるかどうか」です。

たとえば「SEOに強い」とアピールする業者が、集客に直結しないキーワードばかりで上位表示を狙っているケースがあります。

検索順位が高くても、売上につながらないキーワードでは意味がありません。

制作費の見積もりを比較する際には、金額だけでなく、その費用で何をしてくれるのか、どんな成果を目指すのかを必ず確認しましょう。

丸投げは絶対に避けるべき

ホームページ制作を外注する際、最も危険なのは「丸投げ」です。

自社のターゲット、解決すべき課題、強みや価値を明確にしないまま依頼すると、曖昧なホームページが完成し、結果的に集客や売上には結びつきません。

業者はデザインや技術の専門家ですが、あなたのビジネス戦略や市場背景を深く理解しているわけではありません。

だからこそ、基本設計――誰に、何を、どう伝え、どのように行動してもらうか――は自社で固めておく必要があります。

この工程を飛ばすと、完成後に「思っていたのと違う」という事態になりやすく、修正にも時間と費用がかかります。

制作途中のコミュニケーションが品質を左右する

制作開始後も、業者とのやり取りは密に行う必要があります。完成形のイメージや目的が明確であれば、デザインや構成の判断は一本筋の通ったものになります。

しかし、目的が曖昧なまま進めると、途中で不安になって方向性を変えたくなることが多く、そのたびに余計な修正や追加費用が発生します。

途中で迷わないためにも、最初に全体設計を固め、それに基づいて制作を進めることが重要です。

ホームページの目的を理解する

多くの失敗例は「ホームページの目的を誤解している」ことから生じます。SEOで上位表示されること自体が目的ではありません。

ホームページは、見込み客が訪れたときに購入や申し込みを後押しするための情報提供と信頼構築の場です。

そのためには、訪問者の不安や疑問を解消し、他社と比較した際に選ばれる理由を提示する必要があります。Wikipediaのような情報羅列型のページでは、2〜3秒で離脱されるのも当然です。

デザインや文章は、訪問者の行動を促すために存在しているという意識を持ちましょう。

まとめ:業者選びは事前準備が9割

悪徳ホームページ制作業者の被害を避けるためには、「有名企業だから大丈夫」という思い込みを捨て、実績の質や設計思想を見極めることが不可欠です。

そして、業者に依頼する前に、自社のターゲット・目的・訴求ポイントを明確にし、丸投げせず制作プロセスに積極的に関与することが重要です。

ホームページは、単なるデザインではなく、集客・売上・信頼を生み出すための戦略的な資産です。

だからこそ、価格や肩書きだけで判断せず、自社のビジネス目標に沿った形で制作を進めることが、後悔しない業者選びの第一歩となります。

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