TikTok広告はやるべき?新しい広告媒体や集客チャネルに参入すべきタイミングと前提条件

TikTokが急成長中です。

米インサイダー・インテリジェンスによれば、TikTok米国事業の広告収入は、2021年の20億ドルから大きく躍進する見込みで、2022年は60億ドル、2024年には110億ドルまで伸びる予測です。

TikTokは中国の字節跳動(バイトダンス)が始めた動画プラットフォームで、2017年に米国の同事業を買収して海外展開を本格化させました。

TikTokは、数秒や数十秒の短尺動画を撮影・共有する「ショート動画市場」で、いま最も勢いのあるプレーヤーと言えます。

TikTokのあおりを受けているのは、米メタのInstagram。マーク・ザッカーバーグCEOは危機感を強め、対抗策として「リールズ」という最長90秒の動画を共有できるようにしました。結果、Instagram利用時間の約20%超がリールズになっているようです。

YouTubeも最長60秒の動画を共有できる「ショート」を強化。最高製品責任者のニール・モーハン氏曰く、ショートはYouTubeの主要機能になると確信していると説明しています。

私たち社長・マーケターが、次々に登場する新しい広告媒体・メディア・チャネルに対して、どう向き合っていけばいいのでしょうか。

今すぐやるべきか、やらないべきか。どのタイミングで参入すべきか、そもそも参入すべきでないのか。

うちの会社ではTikTokはまったく使っていませんし、当面使う予定もありませんが、注文住宅を建てたい方を集客したいクライアント1社では、TIkTok広告を活用し始めています。

他にも若い求職者を獲得したい人材紹介のクライアント2社でも、TikTok広告の活用を検討し始めています。

そこで、TikTok広告をやるべきかどうか、判断基準を3つシェアしたいと思います。

(1)Web広告としての活用が基本

まず前提として、たくさん動画や記事を投稿して、フォロワーやいいね、高評価を集めようとする活用法には走るべきではありません。

これは、新しい媒体やメディアに限らず、私たち中小ビジネスやスタートアップにとって、大手や資金力豊富な相手と闘って勝てるポイントは、スピードだからです。いつまでに、どんな結果が期待できるのかわからないような手間も時間も消耗する施策に、リソースの乏しい段階で、優先着手するのは事業が伸びません。

あくまでも、効果計測が正確で、高速PDCAがまわせる、ダイレクトレスポンス型のweb広告媒体としての活用価値があるかどうかを考えるのがオススメです。

(2)ターゲットにリーチできるか

あたり前のことですが、新しいから、流行っているから、という理由だけで、飛びつくのはナンセンスです。自社がアプローチしたいターゲットは誰なのか、リーチできる媒体やメディアなのかを精査しましょう。

ただし、TikTokに限らず、web広告は属性や興味関心などで詳細なターゲティングがしやすいです。

そのため、仮にターゲットが検討中のweb広告媒体やメディアでは少数派だったとしても、その少数派に対してリーチできるならOKです。多い少ないはあまり気にしなくて良いです。

たとえば、「Instagramは若いユーザーが多いから、シニア向けやBtoBでInstagram広告は使えないんじゃないか」「TikTokに若いユーザーを取られているから、YouTube広告は視聴されないんじゃないか」のような解釈は不要だということです。どの広告媒体であっても、20代はいるし、80代もいます。

(3)TikTok広告は2番目にやるべき

以上の2点を踏まえた上で、今回のTikTok広告をやるべきか、という話です。

結論、2番目にやるべきです。

Google・YouTube、Facebook・Instagramなど、すでに確立された広告媒体やチャネルで、十二分な広告予算を投資し、社内に運用ノウハウの蓄積、安定した集客パフォーマンスが実現できている状態ならば、TikTok広告の試験運用を始めても良いでしょう。

なぜ真っ先にTikTok広告へ突っ込むべきでないか。

web広告運用の根本的な技術やノウハウが乏しくても、新しい広告媒体は結果が出やすいのです。バブル期みたいなものです。

ただ長くは続きません。せいぜい数ヶ月から2年程度。すぐに、TikTok広告パフォーマンスが落ちてきたとか、獲得単価が高騰してきたとか、そんなフェーズに入ります。

その時に結局は、根本の運用技術に大した蓄積がないので、また流行やトレンドな広告媒体へと渡り鳥のように移り続けなければなりません。

長期安定成長するビジネスやマーケティング、売れる仕組みを構築するという視点では、土台となるセールスライティングや広告クリエイティブをつくる技術、web広告運用の技術を社内に蓄積することが一番。

そのためには、GoogleやFacebookのような、すでに確立された広告媒体やチャネルは、先人たちが様々なトライアンドエラーをくり返した上で手に入れた、確からしいパターンやノウハウを学び、真似することができます。そして、歯車が噛み合えば、安定したパフォーマンスにも繋がりやすいです。

技術の土台、web広告の土台、新規獲得の土台がじっくり確立してきた前提で、2番目に広告媒体を広げたいなら、TikTok広告のような新しいものにチャレンジするのが良いと思います。