日本電産・永守重信会長の著書『成しとげる力』に学ぶ!中小企業やスモールビジネスが生き残る3つの戦略

今日は、日本電産の永守重信会長の著書『成しとげる力』を読んで、私が学んだ中小企業やスモールビジネスが生き残る戦略について、皆さんとシェアしたいと思います。

きっとあなたも私と同じように、中小企業やスモールビジネスを経営している社長・事業主という立場だと思います。

中小企業やスモールビジネスの社長・事業主の多くは、もちろんビジネスをもっと伸ばしていきたいという”攻めのマインド”はあります。しかし一方で、資金繰りであったり、社員の離退職であったり、お金や人について先が読めない、どうすれば今後も生き残れるだろうかという”守りのマインド”も同時にお持ちだと思います。

日本電産の永守重信会長といえば、ものすごいバイタリティで一代で”兆円企業”を作った経営者ですから、全身から”攻めのマインド”があふれ出ているような印象を受けるかもしれません。でも、著書『成しとげる力』を読んでみると、私たちと同じように”守りのマインド”もお持ちだったことがわかります。

今日は、中小企業やスモールビジネスが長期的に生き残るために、攻めと守りの両面から3つの戦略について、シェアしたいと思います。

著書『成しとげる力』を読んで

「気概と執念だけは誰にも負けない。私が目指しているのは、零細企業や中小中堅企業ではない。兆円企業をつくるのだ。」周囲や取引先にも、そのように公言し、想いは決して揺らぐことはありませんでした。

しかし、著書『成しとげる力』にも書かれているとおり、経験したことのない困難に見舞われたときには人一倍悩み、苦しみ、考え抜く。世間では威勢の良い人間だと思われていますが、実際ははるかに臆病な性格で、夜眠れないこともあれば、燃え尽きて倒れてしまうのではないかと恐怖におののくことすらあると言います。

「苦しい時があれば、その後には必ず喜びがやってくる。」「困難は必ず解決策を連れてやってくる。」そんな信念を持ち、たとえどんなに強い逆風に出会っても、逃げずに乗り越える。そして、必ず一番になるんだと貫いてきました。「何がなんでも金メダルをとる」「一番以外は、全部ビリだ」と自社の強みを努力により徹底して磨き、気概と執念をもってNO.1になる。

『成しとげる力』という本は、まるで永守会長が飛び出してきて、信念やエネルギーをもって目の前で檄を飛ばしてくれるような、そんな感覚になれる一冊です。社長・事業主の皆さんには、絶対おすすめですね。

生き残る戦略①: 圧倒的スピード

「中小企業が大手競合や有名企業と勝負できるポイントはどこか?」という問いに対して、永守会長はこう答えています。「大きい会社の欠点は、何事にも時間がかかるところです。中小企業が勝つには、スピードしかありませんね。」

きっと、あなたも私も、今はまだ中小企業やスモールビジネスですよね。大手企業や有名ブランドのようにゆっくり時間をかけている贅沢は私たちには許されていません。そんな余裕は叶わないと思った方が良いかもしれません。

とにかくスピード、スピード、スピードです。

昨年4月に私が出版した『事業復活メソッド』にも、「他社が90日でやることを1日でやる」という小見出しがあります。もちろん比喩ではありますが、90倍速で意思決定し、すぐに実行するくらいの意識で私たちにはちょうど良いと思います。

「早ければなんでも良いわけではない...」そんな意見があるのもわかります。内容や質が伴わないならダメですし、ただ右往左往とバタバタ動き回っていてもダメです。

でも、最短最速で及第点・合格ラインをクリアするには、どうすればできるのか。クリアしたら、完璧主義に陥らず、最短最速で市場へリリースするには、どうすればできるのか。ビジネスの仕組み、売れる仕組みを極限までシンプル化して、最短最速で成果を生み出す施策に集中するには、何を削ぎ落とし、何を優先すべきなのか。

圧倒的スピードで勝負することは、私たち中小企業やスモールビジネスが生き残る、唯一の道かもしれません。

生き残る戦略②: NO.1ポジション

永守社長は、「一番が一人勝ちする時代だ」と述べています。かつては国内外を問わず、いずれのマーケットでも上位4社くらいまでが横並びのシェアを保ち、それぞれに利益を確保することができました。4〜6位まででも生き残ることができたとのこと。

しかし、今は一番以外は利益を確保できない、長期的な収益の柱にならない、生き残ることができない時代だと言います。「金メダルの一人勝ち」という言い方もされています。

一番以外は生き残れない時代というのは、おそらくマーケットの大小に関係ないと思います。私たち中小企業やスモールビジネスが闘うニッチなマーケットにおいても、ナンバーワンになる以外に道はないかもしれません。

よく起業や新規事業を立ち上げる際に、すでにうまく行っている競合を見つけてきて、それを真似すれば成功確率がUPするという教え方をされる人がいます。確かに、目先の短期や瞬間最大風速だけでOKなら、それもアリかもしれません。でも、長期的に生き残り、成長し、儲かり続けるためには、人の真似ではうまくいきません。

永守会長は、真似ることがダメだとは言っていません。真似るだけではダメだと言っています。つまり、真似するのは良いのだが、そこに独自の強みを注入することで、ナンバーワンになれと話しています。

たとえば、モータ開発ならば、市場トップシェアにある他社製品のモータを入手します。そのモータを分解して、どの性能が優れているか、顧客が魅力を感じている点はどこかを徹底的に分析します。そして、実際に真似て作ってみて、技術的な難易度などを体感します。

さらに、自社の持つ最先端のアイデアや技術を加えて、イノベーションを追求し、一気に抜き去るという順番です。真似するだけでは絶対に勝てない、新たな価値を付加することで一番になるということです。

生き残る戦略③: 選択と集中

永守会長は、どの分野で一番になるかを考えるのも大切なことだと話しています。すでにレッドオーシャンなジャンルで一番になるのは、並大抵の努力では達成できません。私たちのように、まだ今は中小零細規模、スモールビジネスの場合には、レッドオーシャン市場で闘うのではなく、競争が少ないニッチなジャンルを狙うのも一つの戦略です。

どんなジャンルを選択するとしても、自分や自社の強みを存分に発揮できる道を選ぶことが、成功の鍵であると永守会長は話します。才能や強みを見つけたら、一点集中で徹底的に深掘りする。

しかし、同時に自分の実力や力量を適切に評価するという視点も必要です。「絶対に山頂に立つぞ、一番になるんだ!」という気概と執念が必要であると同時に、己の実力や器量を客観視すること。永守会長曰く、おおむね20〜30%は高く自己評価してしまっているのが通例であり、失敗を繰り返しながら身をもってその無謀さを知り、体力を温存しながら山頂を目指すことを学んできたそうです。実力をはるかに超えた目標にチャレンジして大失敗してしまっては意味がないと言います。

自分や自社の強みと実力を知り、No.1になれる、勝てる市場・ジャンルを選択し、最高限に強みや実力を発揮して、事をなす。これが、永守会長が日本電産をゼロから兆円企業に成長できた基本戦略なんじゃないかと私は感じました。

まとめ

自分や自社の強みと実力を知り、勝てる市場・ジャンルを選択して、圧倒的スピードでナンバーワンになるということ。

こうやって聞くと、ビジネス戦略やマーケティング戦略を学んでいる方なら「そりゃそうだ」と感じるかもしれません。でも、「知っていること」と「やっていること」は違いますよね。そして、「やっていること」と「貫くこと・成し遂げること」も違います。

私自身への戒めも込めて、今日の内容をシェアしました。

永守重信会長の著書『成しとげる力』、社長・事業主の皆さんには必読書だと思います。ぜひ読んでみてくださいね。