集客コンサルの言葉を鵜呑みにしてはいけない理由/FunTre株式会社 代表取締役 谷田部敦
現代のビジネス環境では、集客やマーケティングの手法が多様化し、次々と新しいツールやプラットフォームが登場しています。
その中で、InstagramやLステップ、最新のWeb集客法などを「これさえやれば成功する」と強く推す集客コンサルや広告代理店の言葉を、そのまま信じてしまう経営者は少なくありません。
しかし、実際にはそれらの施策が自社にまったく合わないことも多く、時間やコストを無駄にしてしまう危険性があります。
なぜなら、同じ業種であっても、地域やターゲット層、価格帯、スタッフ数、提供サービスの特徴が少し違うだけで、最適な戦術は大きく変わるからです。
マーケティングは流行に飛びつくものではなく、自社に適した戦略を見極めることが重要です。
なぜ今InstagramやLステップに手を出すべきではないのか
InstagramやLステップは、確かに多くの企業や店舗が活用して一定の成果を上げているツールです。しかし、それはあくまで条件が合致した場合の話であり、すべての業種・業態に万能ではありません。
例えば、都心の若年層向け美容院でInstagramが効果的なのは、視覚的に訴求しやすく、顧客層が日常的にInstagramを利用しているからです。
一方で、郊外の30〜40代女性をターゲットにする美容院が同じ手法を真似しても、期待した効果は得られません。
逆にLINE公式アカウントによるリピート促進やGoogleマップでの集客の方が成果に直結する可能性が高いのです。
Lステップも同様で、シナリオ設計や運用に時間と労力が必要なため、導入したものの活用しきれずに終わるケースも少なくありません。
成功事例の「表面」だけを真似しても失敗する理由
他社の成功事例を参考にすること自体は悪くありませんが、最も大切なのは「その成功事例と自社の条件がどれだけ一致しているか」を見極めることです。
従業員数、ターゲット層、地域性、商品価格、ブランドポジションなどが完全に近い場合のみ、同じ戦術を再現できる可能性があります。
条件が少しでも違えば、必要な集客チャネルやコンテンツの作り方、広告の打ち方は変わります。表面的な施策だけをコピーしても、自社の顧客層には響かず、かえって労力と予算を浪費してしまいます。
マーケティング戦略は「自社専用」にカスタマイズされてこそ成果を生みます。
自社に合った集客戦略を見極める方法
自社に合った戦略を選ぶには、まず業界全体を俯瞰して見る視点が必要です。
最新ツールや特定チャネルだけを推す情報提供者ではなく、「この場合はこの戦術が有効」「別の条件なら別の手法が適している」と複数の選択肢を提示できる人から意見を聞くことが大切です。
さらに、社内で小規模なテストを繰り返し、成果が出るチャネルに集中的に投資することが成功への近道です。
特に、導入コストや運用負担が低く、短期間で成果が検証できる施策から始めると失敗リスクを減らせます。
業種別に見る効果的な集客チャネル
BtoB企業の場合、InstagramやTikTokのようなSNSが効果的なのはごく一部であり、多くの場合はSEO対策、PPC広告、Facebook広告、ホワイトペーパーやメールマーケティング、ウェビナーなどが成果に直結します。
特に、Facebookは実名制で経営者層の利用率も高く、信頼構築に向いています。
店舗ビジネスでは、Googleマップ(MEO対策)が非常に効果的です。無料で始められ、成果が出やすく、口コミが新規顧客獲得に直結します。
飲食店、美容院、学習塾など幅広い業種に有効で、LINE公式アカウントと組み合わせることでリピート率向上も期待できます。
ECビジネスでは、いきなり自社ECサイトを立ち上げるより、楽天市場やAmazonなどのモール型ECに出店し、レビューや販売実績を積み上げてから独自サイトへ移行する方が現実的です。
また、地域特化型の事業であれば、ふるさと納税を活用するのも有効です。
「最新の集客法」よりも成果が出る王道施策
最新のSNSやアプリに飛びつく前に、長年効果が実証されている王道施策を見直すことが重要です。
GoogleマップやSEO、Eメールマーケティング、リターゲティング広告、紹介制度などは、派手さはなくても安定した集客効果をもたらします。
特にGoogleマップは、飲食店や美容院、学習塾だけでなく、コンサルティングや採用活動にも影響を与えます。
応募者が事前に口コミをチェックする傾向が強まっており、評価が低いと応募数自体が減るリスクがあります。これは新しいSNSではカバーできない部分です。
流行に左右されない集客の本質
流行のツールや手法が登場すると、早い段階で一部の人が飛びつきますが、その多くはやがて消えていきます。
Google+やClubhouseのように、最初は話題でも持続的な集客チャネルにならなかった事例は数多く存在します。
本当に成果を出せるのは、トレンドの熱狂期を過ぎ、改善や最適化が進んだ後期です。そのため、流行に乗ることよりも、自社に合った戦略を持ち、継続的に改善していく姿勢こそが安定的な成果を生むのです。
まとめ:自社に合う戦略だけを選び抜く
マーケティングの世界には、業界の流行やツールの最新情報を売りにする人が数多く存在します。しかし、成功する企業は常に「自社にとって最適か」という視点で施策を取捨選択しています。
重要なのは、他社の成功例を鵜呑みにせず、自社の条件やリソース、顧客層に合わせて戦略をカスタマイズすることです。
InstagramもLステップも、正しい条件と設計があれば成果を出せますが、それが自社に適していなければ成果は出ません。
王道施策と新しい戦術をバランスよく組み合わせ、検証と改善を繰り返すことで、初めて安定した集客基盤を築くことができます。