【営業DX②】顧客情報を安定収益に変える営業DXとビジネスモデルシフト/営業DXの専門家 長尾一洋氏

自転車創業からの脱却!10年先も生き残る会社を作るための秘訣

多くの中小企業経営者や営業担当者が直面する課題、それは「今月は良かったが来月はどうなるか分からない」という不安定な経営状況です。いわゆる「自転車創業」状態から抜け出し、長期的に安定した収益を確保するにはどうすれば良いのでしょうか?本記事では、営業DXの第一人者である長尾先生のアプローチを参考に、10年先まで生き残る会社を作るための具体的な戦略をお伝えします。

営業DXとは?今求められる「繋がる」営業の重要性

営業DX(デジタルトランスフォーメーション)は、単なる営業プロセスのデジタル化ではありません。ポイントは、**「販売後のお客様と繋がり続ける」**ことにあります。これにより、お客様との関係性を強化し、長期的な収益源を確保できるのです。

例えば、販売後も顧客と繋がる仕組みを持つことで、お客様のニーズや状況に応じた新しいサービス提供が可能になります。IoTやアプリを活用して、車のメーカーが事故情報をリアルタイムで把握したり、顧客が必要とするサポートを即座に提供したりする事例は、この考え方の好例です。

ビジネスモデルチェンジが必要な理由

人口減少や市場環境の変化により、新規顧客を狩猟型で獲得する従来の営業スタイルは限界を迎えつつあります。そのため、**「売ったら終わり」ではなく「売った後が始まり」**のビジネスモデルへの転換が求められています。

例えば、不動産業界では以前、新築住宅の販売に注力していましたが、近年ではリフォームや再販売といったアフターサービスにシフトする企業が増えています。これにより、一度の取引だけでなく、継続的な顧客関係が収益源となる仕組みが構築されています。

カスタマーサポートオートメーションの導入

顧客フォローの重要性は理解されつつも、「手間やコストがかかる」という課題が付きまといます。ここで役立つのが、**「カスタマーサポートオートメーション」**です。これを導入することで、販売後の顧客対応を効率化し、継続的なフォローを可能にします。

たとえば、アプリを使って顧客の使用状況をモニタリングしたり、定期的なメンテナンスやアップデート情報を自動で提供したりすることが挙げられます。これにより、人的リソースを最小限に抑えながら、高品質なサービスを提供できます。

DX成功の鍵:ビジネスモデルと顧客との関係性を見直す

DXの導入はあくまで手段であり、目的ではありません。まず重要なのは、現在のビジネスモデルや顧客との関係性を再評価することです。

1. 顧客との接点を増やす

顧客が商品やサービスを購入した後も、継続的に接点を持つ仕組みを構築しましょう。例えば、リピーター向けの専用アプリやメンバーシッププログラムを提供することで、顧客ロイヤルティを高めることができます。

2. サービス化を進める

商品のみを販売するのではなく、アフターサービスや定期的なメンテナンスを含めた総合的な価値を提供するモデルに切り替えます。これにより、売上の安定化が期待できます。

3. 情報の共有と活用

営業チーム間で顧客情報を共有し、全社一丸となって顧客対応に取り組む体制を整えます。これには、CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)の導入が有効です。

新規顧客の開拓と既存顧客のフォローのバランス

新規顧客の獲得は重要ですが、既存顧客との関係構築も同等に重要です。狩猟型営業が通用しにくくなっている現在では、以下のようなバランスが求められます。

  • 新規顧客開拓: デジタル広告やウェブマーケティングを活用して効率よくリードを獲得。
  • 既存顧客フォロー: アフターサービスを自動化し、リピート購入や紹介を促進。

DXを成功させるためのリーダーの役割

DXを進める上で、社長やリーダーの役割は非常に重要です。ただシステムを導入するだけではなく、現場のメンバーに「なぜ変化が必要なのか」を丁寧に伝えることが求められます。

  • 目的を共有する: DXの導入が単なるITツールの導入ではなく、会社の将来を見据えた変革であることを説明する。
  • 現場の意見を取り入れる: 現場スタッフの声を反映させたシステム設計を行うことで、導入後の定着率を高める。

まとめ: 無限ループで安定収益を実現

営業DXの本質は、顧客との関係を「一回限り」から「無限ループ」へと変えることにあります。これを実現するためには、以下のポイントを押さえましょう。

  1. 販売後の顧客フォローを仕組み化する。
  2. サービス化を進め、長期的な収益モデルを構築する。
  3. DXは目的ではなく手段。顧客との関係性を中心に考える。

これらを実践することで、あなたのビジネスは「今月は良かったが来月は分からない」という不安定な状態から脱却し、10年先も安定して成長を続ける基盤を築くことができるでしょう。