採用の救世主が語る!地方・中小企業が人材不足を克服する採用テクニックとは/中小企業3,000社を支援する採用の救世主 トランスヒューマン代表取締役 渡邉崇 × BtoB売れる仕組みの専門家 村上智彦
日本の多くの地方中小企業が抱える課題の一つは、深刻な人手不足です。特に、大手企業と比較して採用市場での競争力が低いため、必要な人材を確保するのが困難になっています。しかし、採用市場の変化や新しい手法を取り入れることで、この課題に立ち向かうことは可能です。
本記事では、元リクルートの採用戦略専門家であり、地方中小企業を中心に3,000社以上を支援してきた渡邉崇先生の経験を基に、地方中小企業が取るべき具体的な採用戦略を解説します。
大手企業と同じ土俵で戦わない採用戦略
渡邉崇先生によれば、大手企業と地方中小企業が同じ採用戦略を用いることは適切ではありません。大手企業は高いブランド力と知名度を持ち、多くの応募者を集めることができます。一方で、中小企業はそのような条件を持たないため、同じ方法では結果を得にくいのが現状です。では、どのように採用戦略を変えるべきなのでしょうか。
1. ターゲット人材像の再定義
中小企業が人材採用において成功するためには、求める人材像を細かく具体化する必要があります。
- 学歴や経験に縛られず、実際の業務に必要なスキルや特性にフォーカスする。
- 地域に密着した生活や働き方を望む人材をターゲットにする。
例えば、営業職を募集する場合、必ずしも大卒や営業経験者を求める必要はありません。代わりに、「地域の顧客と信頼関係を築けるコミュニケーション力」や「未経験でも新しいことに挑戦する意欲」を重視するといった視点が求められます。
2. 採用メディアの多様化と選択
渡邉崇先生は、従来の紙媒体からWeb媒体へのシフト、さらには人材紹介サービスの活用が重要であると指摘しています。ただし、Web媒体を利用する場合でも、以下のような課題を考慮する必要があります:
- 応募の敷居が低いため、応募数が増えても質が低い可能性がある。
- 応募者との接点を増やすだけでなく、効率的に魅力を伝える仕組みを整える。
中小企業にとっては、単に多くの応募者を集めることよりも、質の高い応募者にアプローチすることが重要です。そのためには、専門性の高い人材紹介サービスや地域密着型の採用イベントの活用が有効です。
3. カジュアル面談の導入
カジュアル面談を取り入れることで、応募者の興味を引きやすくなります。従来のフォーマルな面接ではなく、応募者の価値観や興味を探るカジュアルな面談を行うことで、企業側も応募者の個性をより深く理解できます。これにより、ミスマッチの防止が可能となります。
4. 地域の魅力を訴求する採用ブランディング
地方企業が抱える課題の一つは、地域自体の魅力が十分に伝わっていないことです。採用活動を通じて、以下のようなポイントをアピールすることが効果的です:
- 地域ならではの自然や文化的な魅力
- 家庭と仕事のバランスが取りやすい環境
- 小規模企業ならではの柔軟な働き方やアットホームな雰囲気
地方活性化と採用戦略の連携
渡邉崇先生の大学院での研究テーマでもあった地方活性化の視点は、採用戦略にも深く関連しています。地方の企業が発展するためには、人材の流動化が不可欠です。具体的には、以下のような取り組みが挙げられます:
- 地方シンポジウムやイベントの企画 地域の産業や企業の魅力を広く発信し、若い人材や外部の専門家を呼び込む。
- 現地の企業や産業のストーリーを発信 地域の特産品や独自の技術を持つ企業をプロモーションすることで、興味を持つ人材を惹きつける。
採用活動成功のためのステップ
渡邉崇先生が提唱する採用戦略の実践例を基に、成功する採用活動のステップを以下にまとめます:
- 自社の強みを深掘りする 自社の魅力や他社にはない特徴をリストアップし、それを採用ブランディングに反映させる。
- ターゲットに合わせた採用活動を行う 求める人材がいる「池」を特定し、そこに適したアプローチを取る。例えば、技術者を求める場合は、専門学校や技術系イベントでの接触が有効です。
- 採用後のフォローアップを強化する 採用後に離職率を下げるため、オンボーディングプロセスや職場環境の改善を行います。
- 地域と連携した施策を展開する 地域の行政や他企業と協力し、採用活動を地域活性化の一環として進めます。
まとめ
日本全体が抱える人手不足問題において、地方中小企業が生き残り、発展するためには、従来の採用方法からの転換が不可欠です。渡邉崇先生の提言を基に、ターゲット人材像の再定義、採用メディアの活用、地域魅力の訴求といった新しい戦略を取り入れることで、競争の激しい採用市場でも成果を上げることができます。
地方企業の未来を切り開くために、まずは自社の強みを見つめ直し、適切な採用活動を始めましょう。この変革こそが、企業の持続可能な成長への第一歩です。