ホリエモンとサイバー藤田社長の言葉。うまくいくまでやり抜くしぶとさこそ、成功をつかむ最後のワンピース。
ホリエモンこと、堀江貴文さんの言葉「つまらないことを淡々とやり続けた奴が、結局は成功している。」
サイバーエージェント藤田晋社長の言葉「目標やビジョンは壮大に、行動は愚直に。」
...何か共通点がありそうですね。
そういえば、世界最大の損害保険会社をつくりあげたW・クレメント・ストーンも「Persistence(しつこさ・しぶとさ)」こそ成功の秘訣だと言ってましたね。
お二人の言葉を聞いて、ふと19年前を思い出しました。
私は20歳の頃、雑誌広告代理店の完全歩合制営業として働き始めました。
当時の私は、早稲田大学理工学部3年生。大学の単位を落としまくって崖っぷち。留年しそうになるのを、なんとか避けるために必死の毎日でした。
なんとか夏までには、授業や課題に追われる日々から抜け出して...
無事に4年で卒業できそうな目処が立ってきた時、私は当時メジャーだった求人情報誌フロムエーで募集を見つけたのです。
◾️雑誌広告代理店での仕事
CanCamやDomani、Soupといった有名女性ファッション誌の広告枠を販売する仕事。
1枠あたり15万円〜50万円。大学や短大、専門学校、スクール向けに生徒募集のための広告を販売する仕事でした。
販売価格の30%が成果報酬になる契約内容でしたが、何十時間、何百時間働こうが、成果があがらなければ、報酬はゼロ。それが、完全歩合制のルールでした。
その会社は、立ち上げてまだ3年か4年目、社員数名のベンチャー企業。年商はまだ4千万円程度。
一般に営業の仕事というと、当時はまだまだ古い考え方が当たり前の時代でした。
気合と根性の精神論9割か、朝から晩までテレアポや客先訪問をするか、お客にペコペコ頭を下げてのお願い営業をするか。
でも、雑誌広告代理店の社長は、違う考えの持ち主だったのです。
◾️売れる仕組み通りにやったのに...
彼は、営業や販売活動を「売れる仕組み」として捉えていました。
見込み客との接点を作るところから、契約・受注、リピートしてもらうまで、一貫したプロセスがあり、一つひとつに明確なやり方やルールが決まっていました。
たとえば、テレアポにはトーク原稿があり、商談の進め方にも台本がありました。いつどのような質問をするか、その答えにどんな言葉を返せばいいか、明確に決まっていたのです。
誰がやっても、短期間に高確率で成果をあげられる方法が隅々まで確立されていました。
つまり、私たち営業メンバーに求められることは、その方法を忠実に実行することだけ。とてもシンプルでした。
最初の2ヶ月、私は社長に教えられたとおりのテレアポ原稿、商談の台本どおりにやりました。
でも、約500時間の営業活動をしたにも関わらず、雑誌広告は1件も売れませんでした。1円すら報酬を稼ぐことができませんでした。
◾️エジソンの研究実験と同じこと
悔しかった私は、自分のテレアポや商談の音声を録音して、すべて紙に書き出してみました。
そして、社内で一番売っているトップセールスの音声もこっそり録音して、比較しました。
その結果、同じ原稿、同じ台本をもとに営業しているのに、何十箇所もの違いがあったのです。
「自分では台本どおりにやっていると思っても、結構ズレるものだな」
大学で構造力学や都市工学を専攻していた私は、広告やマーケティングなんてまったくの無知。
社長や先輩から熱く指導を受けると同時に、毎日書店に通っては足がガクガク震えるまでビジネス書を立ち読みしたものです。営業やマーケティング、販売心理学の本を手に取りました。
毎週末には、住んでいた寮近くの茗荷谷駅のサイゼリアにドリンクバーとミラノ風ドリアで開店から閉店まで居座りました。
そして、無我夢中でセールスライティング(集客や販売のための言葉や文章をつくる技術)を勉強しました。社長の作った台本の裏に隠されたメカニズムを理解したかったからです。
まるでエジソンが数千や数万回くり返した科学実験のように、仮説・検証・改善をくり返す毎日。
その結果、3ヶ月目には40万円、4ヶ月目には100万円を超える報酬をいただけるようになり、13ヶ月連続で営業成績トップを維持することもできました。
◾️やり抜くしぶとさこそ
営業や販売の成功は、センスや才能、気合や根性で決まるわけではなく、一貫した「売れる仕組み」なのだということを学びました。
誰がやっても短期間で成果が上がるようになり、きちんと知識やスキルを学んで改良すれば、さらに売れる精度を高めることができるということも経験しました。
しかし、いくら売れる仕組みに「勝ちパターン」があるからといって、知った次の日から万事うまくいくなんてことはありません。
勝ちパターンを自社へ応用するには、スキルや実務推進力のある社員メンバーの育成は欠かせません。
さらに、ツールやシステムなどの売れる仕組みの構成要素、仕組みづくりの適切な手順、市場や顧客を取り巻く前提条件の把握など、試行錯誤の末に確立できるものです。
「そんなもの、勝ちパターンとは言えないじゃないか」と思われるかもしれません。
でも、勝ちパターンをあくまでもコンパスの役割を果たすものと考えてみてはいかがでしょうか。
コンパスがあることで、自社が目指す売れる仕組みの完成図が見える化され、誰がいつ何をどのように考え、実行していけばよいのかが定まります。
もし仮に、売れる仕組みの勝ちパターンに倣うなら、やるべきことは決まっています。
成功を実現する最後のワンピースは、うまくいくまでやり抜くしぶとさかもしれませんね。
私たちもしぶとく行きましょうね。