【マーケティング・ファースト】商品開発と顧客獲得の順番が逆だとうまくいかない

私たちのクライアントに、クリニック・診療所向けの集患増患や再来院促進のためのツールを提供している会社があります。新たに開発したツールですが、なかなか売れないということで、昨年秋からご縁をいただき、『売れる仕組み戦略実践1on1コーチング』と一部の実務代行をあわせてご支援しています。

しかし、ターゲット顧客層に顕在ニーズがなく、潜在需要の掘り起こしを図っていますが、今のところかなり難易度が高いと感じています。

というのも、開院して年数の経っているクリニック・診療所の場合、すでに地域から受け入れ可能な患者数が充足しており、経営や集患、増患に対する意識やニーズが低く、わざわざ追加でお金や時間、手間をかけてツールを導入しようという動機がないのです。

クライアントの開発した新ツールは、リテラシーが低めなクリニック・診療所向けのベーシックなサービス機能のみに特化しています。そのため、医院規模拡大への意識が強いクリニック、すでに社内のweb担当や広告代理店に依頼してマーケティングに積極的なクリニック向けにも、現状では役不足と言わざるを得ません。

現状では、ツール自体の商品コンセプトや基本機能を、最初から見直すフェーズへと戻って、リベンジを図ろうと取り組んでいます。

今回のような話は、実はよくあります。つまり、商品の企画開発段階で、マーケティングや顧客獲得の視点が欠落してしまっているケースです。

「○○という商品サービスを開発した。さて、どうやって売ろうか…」

このような順番で無意識に考えがちではありませんか?

もし心当たりがあるならば、新規事業や新商品の企画とは、「まず誰向けに、どんな問題解決を価値提供するのか」という根本からスタートすることを忘れてはいけません。

顕在ニーズであれ、潜在ニーズであれ、価値提供の手段や方法が何であれ、まず想定顧客のどのような根源的欲求や感情を満たしたいのか。基本が曖昧なまま「商品を作ったから、仕入れたから」と話が進めば、後の集約販売には苦労しがちです。

「商品を売るために顧客獲得する、ではなく、顧客獲得するために商品を売る」

これは、米国の著名なマーケターの教えです。

商品サービスを作ってから、仕入れてから、さてどうやって売ろうかと考えるのは、順番が逆です。

たとえば、クリニックの院長先生(=誰向けか)を獲得したいのであれば、院長先生たちが今すぐ何とかしたいと困っていることは何か、心の底で何を望んでいるのか、何にお金を積極的に払うのか(=問題解決)を把握することが先。商品開発や仕入れ(=手段や方法)はその後です。

別の言い方をするならば、ターゲット顧客に対して、満たす根源的感情や欲求から逆算して、目的に応えられる商品サービスを企画開発したり、仕入れたりするのが順番だということ。これは、BtoBでもBtoCでも不変です。

あなたのビジネスでは、いかがでしょうか。まずは誰向けに、どんな問題解決を提供したいのかが方向性として明確にあり、その枠組みの中で目的に応える商品サービスをつくりましょう。商品開発や仕入れありき、ではなく。

今日あなたに伝えたかったことは、私たちのクライアントが開発した新ツールの良し悪しという話ではなく、考え方の順番が逆ではないか、という話です。私自身もたくさん失敗経験があります。おそらく誰もが陥りがちな失敗パターンなので、注意しましょう。