社長・起業家が知っておくべき負けない力。問答無用、非情冷徹な撤退判断の基準を持つことが重要なワケ。
「儲かると確信できるまで、アクセルを踏んではいけない」
「売れるとわかるまで、商品にのめり込んではいけない」
「起業のプロセスに忠実に従い、ダメなら即座に撤退する」
本やネットに溢れる情報をいくら探しても、ビジネス戦略における「撤退」の重要性について語っているものは少ないですね。
でも、私はあらゆる業種業態のビジネスにおける成功の最重要ポイントは「撤退」であると考えています。
◾️勝ちたい、よりも、負けない
あなたもきっと、投資には積極的なマインドの方が多いでしょう。
たとえば、株式投資などをやっているなら、「損切り」がいかに重要な意味を持つか、きっと理解されていると思います。
損切りとは、株価いくらで買った場合に、いくらまで値が下がったら、損失の拡大を避けるために売却するというもの。
「いまは下がっているけど、もうちょっと待っていたら回復してくるかもしれない」
このような根拠の薄い期待をして、損切りせずに持ち続ければ、さらに損失が膨らんで取り返しがつかないことになる場合もあります。
将来や未来は誰にも予測できません。予測できないものに一か八かで賭けるのはギャンブルと同じ。
新規ビジネスの約60%は1年以内に消え、約90%は5年以内に消えるという統計もあります。それが現実なんです。
決して、自分の事業は大丈夫だ、例外だ、などと勘違いしてはならないと私は思います。
◾️非情冷徹な撤退基準に従う
あらかじめ自分で決めた基準やルールに従って、ジャッジする冷徹さを決して忘れてはなりません。
投資家マネーの集まるシリコンバレーのスタートアップでさえ、新商品サービスの成功率は1.7%だそうです。
いくら類稀なる才能があろうと、いくら素晴らしいビジョンがあろうと、いくら新規的な商品アイデアがあろうと、90%以上は失敗に終わるのです。
ファーストリテイリング社の柳井正会長も一勝九敗。
だから、数字や確実性が担保できていない限り、キャッシュを注ぎ込むようなことをしてはいけません。致命傷を負ってはいけません。かすり傷くらいなら、次のチャンスにトライする耐力が残っていますから。
これはビジネスや事業単位だけの話ではありません。広告宣伝や販売促進のチャネル、施策、プロセス、クリエイティブごとに明確な基準を設定しましょう。
うまくいく見込みが立たなければ、潔く撤退する。基準を定めて、その範囲内で全力で勝負する。
もしうまくいかなくても、ズルズルと損失が膨らむことはありません。新しいチャンスやテストマーケティングに移行できます。