ネットフリックスの最強人事戦略!パティ・マッコード氏の著書『NETFLIXの最強人事戦略 -自由と責任の文化を築く-』に学ぶ。

今日は、ネットフリックスの人事戦略について話します。

今回参考にさせていただいた書籍は、パティ・マッコード氏の著書『NETFLIXの最強人事戦略 -自由と責任の文化を築く-』です。

私たち日本の会社からすれば、なかなか極端というか、ある意味では冷徹非情というか、エッジの効いた人事戦略・評価制度だといえます。

しかし、決して海外企業の他人事ではなくて、ネットフリックスの人事戦略の中には、私たち日本の会社、中小企業が「どうすれば取り入れられるか」と考えるべき示唆がたくさん隠されています。

今日は、私が学んだエッセンスをシェアしたいと思います。

◾️パティ・マッコード氏について

パティ・マッコード氏は、元NETFLIX最高人事責任者です。

サン・マイクロシステムズで人事のキャリアを始め、ボーランドなどを経て、NETFLIXには創業期から参加していました。人材集め、多様性、コミュニケーションなどが専門で、現在は企業文化やリーダーシップについて企業・起業家向けに講演やコンサルティングをされています。

そして、FacebookCOOだったシェリル・サンドバーグ氏が「シリコンバレー史上、最も重要な文書だ」と絶賛し、全世界で1500万回以上も閲覧されたスライド資料『NETFLIX CULTURE DECK』の共同執筆者でもあります。

◾️『NETFLIX CULTURE DECK』とは

Culture Deckは、企業哲学や経営理念、社員に期待する行動などを具体的に表現し、網羅的にまとめたドキュメントです。その中でも、ネットフリックスのCulture Deckは「シリコンバレーからうまれた最も重要なドキュメント」とも呼ばれています。

日本で馴染みのある言葉に置き換えるなら、クレドや社員手帳、コーポレート・カルチャー・スタンダードのようなものに近いかもしれません。

◾️ネットフリックスの最強人事戦略

『NETFLIXの最強人事戦略』に書かれている考え方や方法は、かなり挑戦的だと私は感じました。特に、もしあなたが社員スタッフを雇用する社長・事業主という立場なら、第7章「会社にもたらす価値をもとに報酬を決める」は絶対に読んで損はないと思います。

たとえば、人事考課と報酬制度を分離する、という話。

一般的な考え方では、人事考課と報酬制度は密接につながっているものです。マネージャーが直属の部下を評価し、ときには部下や同僚がマネージャーを評価します。最近では、360度評価によって、メンバー同士で評価しあうという制度もあります。

しかし、本書では人事考課制度はばかばかしいほど時間がかかって非効率だと述べ、給与決定で考慮されるべき重要な要因の一部、たとえば、従業員が身につけたスキルの価値など、報酬の算定方式から抜け落ちていると言います。

さらに、部署や会社の業績と連動した所定のレンジ内での推奨昇級額が算出される仕組みは、80対20の法則で言うトップ20%のスター人材向けではなく、その他80%の人材との公平さや納得感を重視しているとのこと。

人事考課と報酬制度を分離しない限り、優秀なスター人材に長く活躍し続けてもらうことは難しいと言います。

彼らには、所定のレンジを超えた業界最高水準の給与を払ってでも、会社にとどまってもらう価値があり、逆にその他80%の人材は、仮に人事考課が良くても、安易に報酬を上げるのではなく、会社の未来の姿から逆算して適所がないなら円満解雇も辞さないべきというのが、『NETFLIXの最強人事戦略』に書かれている方法論です。

◾️私たちジーニアスラボの場合

私たちジーニアスラボでは、業務委託契約のフリーランス人材が中心のチーム編成で、小さな会社であり、ほとんど人の出入りはないのですが、多少は入れ替わりがあります。

私たちはフリーランス人材に、固定と出来高のハイブリッド型で報酬を決定し、支払っています。ある意味、プロ野球選手みたいなものですね。

従来の正社員や契約社員とは異なり、フリーランスは事業主です。専門知識やスキルを持ったプロ人材です。ビジネスの成長に貢献した分だけ、報酬を支払います。

プロ野球選手が、チームや個人の年間成績に応じて年棒が変わるのと同じです。一番高い報酬を得ているフリーランスだと、年間2,500万円くらい払っています。

自分のチームづくりの方法が、果たして良いのかどうか、確信はありませんが、「もし私なら、どんな会社やチームで働きたいか」を考えて、今の仕組みを作ってきたつもりです。

自分自身が長く働きたいと思えない、やりがいを見いだせない、成長実感を得られないような会社やチームに、他人を巻き込むのは迷惑だと思ったからです。

そして、「80対20の法則」や「2:6:2」と言われますよね。80%の業績を作るのは、トップ20%のスター人材だと。

◾️1,000名以上の社長と話してわかったこと

20代の頃から様々な業種や規模のクライアントをご支援する中で、気づいたことが3つあります。

1つ目は、社員数が増えれば増えるほど、社長やマネージャーのストレスは増え、ビジネスの成長は鈍るということ。

2つ目は、会社の給与体系や人事考課の仕組みは、たいてい社員に不公平感がなく、みな平等に、という思想が根底にあること。

3つ目は、マネジメントの手間やストレス、トラブルが起こるのは、トップ20%のスター人材を除く、80%の方であること。

◾️NETFLIX流に近い「3つの人事方針」

多くの企業の内情や社長からの相談から気づきを得て、私は3つの方針を打ち立てました。

1つ目は、最小の社員数や働く時間で、利益や顧客を伸ばせる仕組みをつくること。マンパワーに依存するビジネスには手を出さないこと。

2つ目は、利益貢献度の高いトップ20%のスター人材を、報酬面で特別扱いして、彼らの活躍を全力でサポートすること。管理はしないこと。

3つ目は、利益貢献度の低い80%の人材を、いつでも円満解雇できる契約形態にして、マネジメント工数を極力かけないこと。

非情で極端だと思われるでしょうか...?笑

ちょっと違う言い方をすれば、「5人の平凡な社員を雇って500万円ずつ払うより、1人のスター社員を雇って2,500万円払う方が良いじゃないか」という考え方です。

でも、今回ネットフリックスの人事戦略を学び、私がやっている方法とほとんど同じじゃないか!と知って、ちょっとだけ自信を持てましたよ。

まぁ、洗練度というか、レベルは全然違いますけどね笑

ネットフリックスの人事戦略は、大多数の日本の会社では実行できないと思われるかもしれません。

でも、「うちの会社には関係ない、できない」というマインドブロックを外して、むしろ海外企業や異業種の事例からエッセンスを学び、「どうすればうちの会社でも取り入れられるか」と考えることには価値があると私は思います。

ぜひあなたのビジネスにも生かしてくださいね。