ネットフリックスの失速は嘘?会員数の増減だけで判断できない業績好調のメカニズム

米国の動画配信サービスの競争が熾烈ですね。

2022年1〜3月期業績では、最大手ネットフリックスは過去10年で初めて会員数が減少し、20万人減となっています。次の4〜6月期でも、さらに200万人減となる見込みとのこと。

ディズニー+やアマゾンプライム、HBOマックス、ピーコック、パラマウント+など、競合サービスも次々と登場し、安さで新規会員獲得をしている相手が大半です。ネットフリックスは、価格を15%程度値上げしたこともあり、消費者側から見ると、決して安いとは思わないでしょう。

過去10年で初めて会員数が減少に転じたことから、株価も急落中。「ネットフリックス、失速」のようなニュースがよく見られます。

しかし、本当に失速なのでしょうか。私はそうは思いません。

会員数2億人超というネットフリックスにとって、価格を15%程度値上げしたのに、失った会員数は20万人や200万人ですから、全体の0.1%〜1%に過ぎません。もしかしたら、安さで戦いを挑んでいる後発の競合他社サービスに会員を奪われ、今後も減少ペースが加速するかもしれませんね。

でも、会員数の増減だけでなく、業績全体を見ればネットフリックスへの評価は「失速」とはならないと思うのですが、あなたはどう考えますか?

逆に競合サービスは、短期的には安さ勝負で会員を獲得できたとしても、それ相応に他では視聴できない魅力的なコンテンツを確保する予算が捻出できないなら、中長期的にはジリ貧になっていく可能性もありますよね。

これは、先行者の牙城を崩したい後発組の宿命かもしれません。相当な資金力を持って、価格勝負に挑まなければ勝てませんね。

最大手ネットフリックスが、やや高価格帯へのシフトを狙っていますから、なおさらです。

結論、私は現時点でネットフリックスが失速だというニュースには懐疑的です。企業業績と中長期的な競争環境を見れば、むしろ素晴らしい経営戦略、価格戦略をとっていると好評価です。

余談ですが、最近妻と一緒に見たネットフリックスのオリジナル作品『愛の不時着』は、過去最高の作品でした。まだご覧になっていない方はぜひ見てください。面白いですよ。