「N1分析」から採用成功の糸口を探る。“ただ一人”に集中すれば欲しい人材を惹き寄せるヒントが見える。

先週金曜にいただいた新規のご相談です。

東京・大田区のシステム開発会社で、社員30名で9割がエンジニア。

phpやJavaが使える経験3年以上のオープン系エンジニアと、Salesforce社の資格を持つエンジニアの2タイプで、中途採用に取り組んでいるのですがうまくいきません。

求人媒体掲載は、dodaやマイナビ転職を試してきましたが、3ヶ月かそれ以上掲載しても、ほとんど応募すら集まらなかったそうです。

人材紹介会社とハローワーク経由で、年に数名を採用できていますが、採用計画数には程遠く。

採用の専任担当はおらず、経理や総務など幅広く兼務している女性1名が、採用もカバーしている状況。

ハローワークの求人を手入れしたり、dodaやGreen、paiza転職などの求人原稿を変えたり、スカウトメール配信を送ったり、採用ホームページに社員インタビューコンテンツを充実させたりと、やることは山積みなのですが、手が回りません。

先日よりシステム開発会社やIT技術者派遣会社(SES)から、同様のご相談が次々と寄せられます。

「N1分析」から採用の決め手を探る

6月から私たちが採用パートナーとしてご支援する流れなのですが、私が今日伝えたいのは、「N1分析」の話です。

もとは世界NO.1ブランド創造カンパニーP&Gが、社内でブランドコンセプトやプロモーション、広告宣伝を企画する際に「たった1人の顧客からアイデアを得て広げる」という原則です。

市場調査や顧客リサーチといえば、統計データを用いた推計やアンケート調査など、数字や事実に基づくものが多いイメージ。

しかし、「N1分析」では、架空のペルソナでもなく、実在する人間ただ一人を知ることにフォーカスします。

先週ご相談いただいたシステム開発会社では、なぜ求人媒体から応募が来ないのか。

人材紹介やハローワークから入社したエンジニアは、なぜこの会社を選んだのか。

社長と担当者にお話を伺いましたが、「えーと、なんでだろうね...笑」とのこと。

そこで、ちょっと突っ込んでヒアリングさせていただきました。

「特にこんな人がもっと来てくれたら嬉しいよね」に該当する、最近ハローワークから入社して半年強ほど経った社員1名(29歳/オープン系エンジニア)を選び、深掘りしました。

“ただ一人”に集中すればヒントが見える

すると、結局入社の決め手になったポイントが3つ見つかったのです。

1つ目は、入社支度金25万円の支給。

直近で前職の事業縮小により、正社員雇用からアルバイト雇用になっていた20代には、入社してすぐにもらえる25万円は大きかったようです。

2つ目は、リモート中心の働き方。

出社は週1-2日程度で、コロナ禍を抜けた昨今、出社頻度がUPしてきている中で、リモート中心のワークスタイルは大事なポイントだったようです。

そして3つ目は、スキルアップ案件への挑戦確約。

プログラマーとしては経験有でしたが、今できることだけに現状維持していては食いっぱぐれる業界。

そんな危機感からクライアントとの直コミュニケーションや高度スキルを要する案件に挑戦したい意向がありましたが、前職では叶う見込みがなく。30代を目前にキャリアを真剣に考えたそうです。

他の会社でもよくあるケースですが、今いる会社では同じような仕事のくり返しでスキルアップや挑戦ができない、入社時に聞いていた仕事内容がまったく叶わない、というのが転職動機に。

システム開発会社の社長自身もエンジニア出身で、30歳手前で独立起業したそうで、とても共感されていました。

採用はマーケティングである

採用もマーケティングです。

「N1分析」でたった一人の社員メンバーや求職者だけにフォーカスすれば、欲しい人材を惹き寄せるコンセプトやメッセージの確かな切り口がきっと見つかると思いますよ。

私はクライアントの採用をお手伝いする時には、毎回必ず、今いる社員さん3名くらいにお時間をいただきヒアリングしています。

ぜひあなたの会社でもやってみてくださいね!