キリン氷結のミステリー缶は盗作?数々の歴史的ヒットを生み出してきたビッグアイデア「謎、ミステリー」の使い方

キリンビールが5/16にリニューアルを発表した缶チューハイ「キリン 氷結」が話題です。その理由は、「ミステリー缶」というキャンペーンです。

TVCMやSNSでは缶のパッケージデザインやブランド名を隠し、「完璧なチューハイを飲んでみないか?」とPR。100万本配布するそうです。

消費者の期待感を刺激し、拡大傾向のチューハイ市場の成長性をさらにギアチェンジさせたい狙いです。

各種メディアでは「キリンの”奇策”は功を奏するか」と話題ですが、「謎、ミステリー」というコンセプトは、実は昔から様々な業種や商品ジャンルで使いまわされているんです。

たとえば、同じ飲料ジャンルでは、かつ、ものすごくローカルな例ですが、私が中高時代に通った学校の正門前にある自販機は、愛知県内NO.1の売上を誇る自販機でした。

それは、学生たちが買いやすい場所だったからではありません。何が出てくるかわからない「謎、ミステリー」があったからです。

自販機のディスプレイには、通常の缶やペットボトルが並んでいる中で、1つだけ「男は度胸!」と缶に書いてるのです。

私が通っていたのは男子校だったので、みんな部活の帰りがけに、「男は度胸!」のボタンを押して、「うわぁー、午後ティーかぁ」「あ!やった、今日は当たりだ!」とか一喜一憂していたわけです。

ほかにも、ゲストスピーカーたちをブッキングして、大規模な講演イベントやセミナーを企画開催した時にも、「謎、ミステリー」の要素を演出したことがあります。

「どうしても顔出ししたくない...」という講演者がいたのです。それを逆手に取りました。

その講演者は、素晴らしい経歴や実績をお持ちで、当日の講演テーマもかなり惹きの強いものでした。しかし、一般的にはどちらかという無名で、影武者的なポジションの方でした。

そこで、彼の顔写真をあえて見せず、ブラックボックス化「?」としました。

訳あって事前に公にすることはできないが、実はものすごい人物が登壇するという前振りをすると、「そんなすごい人って誰なんだ?」と確かめたくなるがごとく、満員御礼となりました。

「謎、ミステリー」というコンセプトは、要するに、コアな情報の一部をあえて欠落させることで、それを埋めたくなる心理を狙ったものです。

普通はターゲットや市場に対して、できるだけ情報をたくさんオープンに与え、発信することによって、信頼される・選ばれると考えがちです。

しかし、「謎、ミステリー」はその逆。商品や人物などの情報の一部を隠す、欠落させる、秘密にする。

なぜ隠すのか、秘密にするのかという理由、ストーリーもあわせて訴求すると、より強いキャンペーンになりますよ。

ぜひあなたのビジネスでも試してみてください。