起業1年目に最もよくある間違い

もしあなたが昔の私と同じように、まだ駆け出しのフリーランスやコンサルタント、研修講師なら、「最初は安い単発仕事をたくさんこなして実績や信用をつくらなくちゃ」と思い込んでいませんか?

テレアポ研修トレーナーとして独立した1年目。周囲の同級生たちが大手有名企業に就職する中、私のように”身ひとつで生きていく”という選択をした人は誰もいませんでした。

なんの後ろ盾もない、なんの保証もない。右も左もわからない。学生時代のフルコミ営業でつくった貯金は、約2年のアメリカ留学でほとんど使い果たしていました。ただ漠然とした日々のプレッシャーに押しつぶされそうになり、いつも銀行口座の残高を気にしなければなりませんでした。

仕事の取り方のコツをつかむまでの最初の半年。私は仕事を選ばず、低単価で短期での依頼をいくつも受けました。とにかく食っていかないと、と焦っていたのでしょう。

クライアント先で夜中3時まで資料を作り、渋谷からタクシーで25,000円もかけて帰宅した日もありました。コンビニでおにぎり1個を買うのすら躊躇したこともありました。毎日朝から晩まで働き、精神的にも肉体的にもギリギリな一方で、毎月なんとか食いつなぐ程度の収入しか得られず、自分の通帳明細をただボーッと虚しく眺めたこともありました。

自分の知識や経験、スキル、実績を生かして、フリーランスや個人として活躍する人が増えた現代。それでも特定の組織に属さずにフルタイムで働くフリーランス462万人のうち、45.4%は年収400万円未満で、88.2%は年収1,000万円も稼げていないそうです。(フリーランス協会発行のフリーランス白書より)

ランサーズやクラウドワークス、様々な案件紹介サービスが乱立する中で、どうしても安く、安くと意識が向きがちではないでしょうか。自分を他と比較し、低単価・短期案件に縛られ、値上げ交渉も難しく、「もっと実績ができて自信がついたら単価を上げよう」と思いつつも、いつまでも抜け出せない状態に陥っているのではないでしょうか。

これはフリーランスや個人だけの問題ではありません。企業でも同じことが言えます。がんばっているのに売上や利益、収入が伸びない典型的なパターンなのです。いったい何が問題だと思いますか?

自分のちからで仕事が取れないから、ランサーズやクラウドワークス、案件紹介サービスのような、いかにも他と比較され、相当なパーセンテージの仲介料を抜かれ、安くならざるを得ない場所に頼ってしまうのだと思いませんか?

自分がクライアントに提供する価値を正しく評価できないから、隣近所を見回して、足並みを揃えるような価格設定、単価設定が常識的だろう、普通だろう、おかしくないだろうと、悪気なく安くしてしまうのだと思いませんか?

そして、自分の提供価値を正しく評価してもらえる相手と出会う方法がわからないから、自分が希望する価格や報酬単価、契約条件を喜んで受け入れてくれるようなクライアントなんて存在するのかと、そもそもあきらめてしまうのだと思いませんか?

あなたも「値決めは経営」という言葉を聞いたことはありませんか?仮にあなたのコンサルや研修、実務代行サービスがまったく同じでも、あなたの価格設定が月10万円や50万円、100万円と変われば、あなたの元に集まるクライアントも変わります。

それは、実績が多い少ないの問題ではありません。個人サイズだとしても、あなたがどんなビジネスをしたいのか、100%完全にあなた自身が決められる意思方針の問題です。

そしてその意思方針を貫けるかどうかは、”あなたに相談したい・仕事を頼みたい”というクライアント候補があなたの元へ集まる仕組みをもっているかどうか。これがすべてです。

本当に大事なので、最後にもう一度。実績は問題ではない、決断と仕組みがすべてです。