猿田彦珈琲の秘密!なぜ無名の珈琲店がコカ・コーラとコラボ、神社公認コーヒーに選ばれたのか

猿田彦珈琲という店、知っていますか?

以前カンブリア宮殿でも取り上げられた注目の珈琲店です。

もしあなたが、珈琲店を始めるとしたら、あるいは珈琲店の経営を任されたとしたら、どのように作戦を立てますか?スタバ、タリーズ、ドトール、コメダ珈琲、星乃珈琲店... すでに各地域には、数々の競合店が熾烈な戦いをやっています。

そんな中で、どうやって他との違いを市場に認知させるでしょうか。

珈琲の美味しさよりも...

カンブリア宮殿の番組内では、浅煎りコーヒーの香りや美味しさ、一杯のコーヒーの入れ方へのこだわり、創業者の大塚朝之さんのストーリーなど、猿田彦珈琲の魅力がクローズアップされていました。

もちろん、すべてが猿田彦珈琲が成功している秘訣だと思います。

でも、他の珈琲店だって、厳選されたコーヒー豆や職人の技、顧客サービスの素晴らしさ、創業秘話など、それぞれに魅力があるはずです。新店舗オープンの際には、無料サンプリングもやっているでしょう。

それでは、なぜ猿田彦珈琲は特に注目を集めているのでしょうか?売上や店舗数がグングン伸びているのでしょうか?

その最大の秘密は、「猿田彦」という名前にあると私は考えています。

コカ・コーラとコラボ、神社公認...

創業間もない頃、資金繰りも苦しく、珈琲も決してヒットするまでは至っていなかった頃、ある会社の担当者が猿田彦に目をつけました。

その会社は、コカ・コーラ。

大塚朝之さんに声をかけ、ペットボトルや缶コーヒーシリーズのジョージアを「猿田彦珈琲監修」と銘打ってリニューアル。TVCMやメディアリリースも大々的に行いました。猿田彦珈琲の名前は、一瞬で全国区となったのです。

猿田彦神社からもオファーが来ました。「猿田彦神社の公認コーヒーにさせてもらえませんか?」と。

日本の神話、古事記にも登場する神様、猿田彦。物事の最初にあらわれ、万事最も良い方向へお導きになる神様だそうです。

猿田彦神社の公認を得たことで、さらに幅広い顧客層へ認知が広がっただけでなく、メディアにも一層取り上げられるようになり、猿田彦神社とのコラボ商品の開発も進みました。

なぜ、コカ・コーラは声をかけたのでしょうか?
なぜ、猿田彦神社は公認したいと思ったのでしょうか?

もちろん、珈琲が素晴らしかった、大塚朝之さんの情熱が本気だったというのは大きな要素です。

でも、そもそも「猿田彦」という名前を付けたから、という点は絶対に見逃せません。その名前を聞いただけで、どこか神聖で格式が高く、特別な印象を持つのは、日本人ならではかもしれません。

一番乗りで名乗れば勝ち

それでは、大塚朝之さんは猿田彦にゆかりがある人物なのでしょうか?猿田彦への特別な思い入れやエピソードがある人物なのでしょうか?

いいえ、まったくありません。

創業当時、店の名前とロゴを決めようとする時の、相談相手の一言。「猿田彦とか、いいんじゃない?日本人には覚えやすいかも」これだけです。

私たちはつい、会社名やブランド名、商品名を考える時に、自分自身のこだわりや想い入れを表現しようとしていないでしょうか。

あるいは、商品の性質から論理的に言葉を選んで、組み合わせることによってネーミングを考えていないでしょうか。

BtoBビジネスの売れる仕組みをシェアする『PROFIT ENGINE』はどうでしょう。

”PROFIT(利益・売上)を生み出すENGINE(エンジン・仕組み・パワーの源)をつくる”という組合せでブランド名を付けました。

確かに、意味はわかりやすいかもしれません。でも、猿田彦のような理屈を超えた印象を与えるものではありませんよね。

また、すでに人々が認知・信頼・支持しているものに重ね合わせるようなネーミングでもないかもしれません。

ネーミングは、奥が深い

リリース前、ローンチ前、本格的に売れる前なら、ブランド名や商品名を変更しやすいですが、中途半端に売れ始めるとリスクが脳裏を過ぎるものです。

猿田彦珈琲のように、ネーミングがきっかけとなり、大ヒットに繋がるケースは実はたくさんあります。商品はもちろん、ネーミングにはこだわりましょう。