新規事業を予算に組み込んではいけない理由。根拠となる数字がないのに、勘と憶測だけで収益を期待するのは危ない。

12月に入りました。今年も終盤戦です。

年間や四半期、月次、週次目標の達成状況はいかがでしょうか。

来期に向けての業績目標や予算計画を立てる会社も多い時期ですね。

◾️その数字に根拠はあるか

あなたは、業績目標や予算をどのように設定していますか?

「今年度は5億円だったから、来年度は6億円くらい行きたいな...」のように、前の期をもとに翌期の数字をイメージしていませんか?

私は”売れる仕組み”という領域を担う立場であることから、事業経営の中枢に深く関わる機会が多いです。

そして、クライアントの経営戦略や予算計画にもアドバイスさせていただく機会もあります。

いま振り返ってみると、ほぼ例外なく、すべてのクライアントに毎回伝えているポイントがあるんです。それは「その数字に根拠はあるか」です。

◾️新規事業からの収益を見込まない

よくある間違いは、現在はまったく影も形もない新規事業からの収益を見込んでしまっていること。

既存事業が右肩下がりで厳しく、どうしても成長が見出せない。新規事業を収益源として期待したいという危機感と想いを強く持っている社長もいますよね。

しかし問題は、新規事業から見込んでいる売上や利益を得るために、いつ、何に、いくら投資して、どれほどのリターン(成果)が返って来るのか、根拠となる数字がないのです。

今期中に小予算でのテストマーケティングを実行しているならOKですよ?

どのような数字(KPIやROI、ROAS)が目指せそうか、根拠があるなら多少の勘や憶測は構いません。

でも、新規事業は影も形もなく、テストマーケティングもまだやっていない状態で、「これくらい、いけるんじゃないか...」と予算計画に織り込んでしまうのは、NGです。

ある意味、勘や憶測、ギャンブルで経営をしているようなものです。

「同じ領域で他社はこれくらいの数字だから、うちも行けるんじゃないか...」と隣近所を参考にするケースもあります。

でも、自社と他社ではあらゆる前提条件が異なりますよね。まったく同じということはあり得ません。

◾️投資やコストだけを組み込む

新規事業に着手したい場合や、既存事業に新しい施策を追加したい場合は、どうすればいいのでしょうか?

一番良いのは、今期のうちにテストマーケティングを実行して、目標設定の根拠となる数字を実地確認しておくことです。

今期は着手せず、あくまでも来期から始める場合には、テストマーケティングにかかるコストやリソースは、投資や費用として経営計画や業績目標、予算立てに組み込んでおきます。

でも、そこから得られる売上や利益といったリターンは、外しておくことが賢明です。

要するに「投資はしたが、リターンはまったくのゼロだった」という最悪のケースを想定して、予算計画を組んでおくのです。

予算計画は、あくまでも今すでにある既存事業や売れる仕組みを改善改良して、収益性UPすることを前提に組みましょう。

新規事業・新商品・新施策は、勘と憶測で始めて、期待したような成果がパパッと出る類のものではありません。

たとえば、シリコンバレーのスタートアップ企業の成功率は、1.7%だそうです。一般的にも新規事業の成功確率は、10%未満と言われますよね。

もちろん成功させるために、仮目標やKPIを設定して、実行と達成にコミットするのはあたり前です。

しかしあくまでも、今やっている目の前の既存事業や売れる仕組みが予算計画の土台であることを忘れてはいけません。