【伊藤農園】世界32カ国で売上20億円超え「稼ぐ農家」の秘密
私は愛媛県の松山が好きです。過去に何度か旅行や出張で訪れています。
道後温泉が好き、松山城の石垣が好きなど理由はいくつかありますが、実は一番はTen Factoryさんでの各種みかんジュース飲み比べがあまりにも美味しく、印象的な体験だったことが忘れられません。
今日は松山の話ではなく、私の大好きな「みかん」をブランド化して売上20億円超えと大成功されている伊藤農園さんの話です。
400年以上の歴史を持つみかんの名産地、和歌山県有田市で、明治中期にみかん問屋として創業した伊藤農園。
現在はみかん30個を手搾りした100%ストレートジュース、26カテゴリ・96品目の商品を展開中です。海外にも進出し、EU諸国を中心に世界32カ国の高級百貨店やスーパーでも大人気。
およそ20年前、正社員0名、パート従業員10人程度、売上1億円未満だった事業規模は、正社員60名、パート従業員40名、売上20億円まで成長しています。
価格暴落、生産者利益の減少、後継者問題、耕作放棄地など、過去から現在まで問題山積みな農業。みかんの生産と卸売が主事業だった伊藤農園も、冬しか収入が得られない状況や市場価格の不安定さに悩まされていました。
そんな伊藤農園は、一体どうやって成功したのでしょうか。私が気づいた点を3つシェアします。
1つ目は「大多数が見過ごしているものに価値を見出した」こと。
伊藤農園はどん底状態だった20年前、規格外品に目をつけました。規格外品とは形や大きさ、重さが流通の規格に沿わないもの。当時の買取価格は1kgあたりたった2円。
この規格外品を買い取り、現在まで看板商品となっている1瓶1,000円の高級ジュース「みかんしぼり」を開発しました。
2つ目は「付加価値を生み出せる事業体へ転換した」こと。
農家が儲からないと言われる原因の1つに、隣近所や流通チャネルの規格から外れた付加価値を市場に提案しづらい環境があるのではないでしょうか。
伊藤農園は、生産業・卸売業から加工品メーカーへと事業を転換しました。
同業他社との差別化が極めて難しく、高付加価値商品を市場へ届けにくいポジションには別れを告げることを決心したのです。
3つ目は「想定顧客層にリーチできる販売チャネルを選択した」こと。
1瓶1,000円の高級ジュースの商品価値を認めてもらうにはどうすればいいのか。実際に買ってくれるターゲット顧客層はいったいどこにいるのか。
考え抜いた結果、百貨店バイヤーや海外のミシュラン星付きレストランのシェフにアプローチをしました。
今ではEU諸国を中心に世界32カ国の高級百貨店やスーパーでも大人気です。
今日シェアした3点は、いずれも「捨てる」ということの意味を、私たちに教えてくれていると思いませんか?
大多数が扱う規格品からの決別、長年慣れた生産業・卸売業からの決別、マス受けを狙ったコモディティからの決別。
伊藤農園さんのケーススタディから私たちは何を学べるでしょうか。
あなたのビジネスが現状維持を続けているとしたら、同業他社や隣近所、大多数と同じことをやっているとしたら、何かを変えたいと思いながらも何からどう変えていいのかわからないままでいるとしたら、今後の生き残りや成長は期待できるでしょうか。