日本の営業生産性はなぜ低いのか。マッキンゼーの論文が提唱した課題は、ただ1つのボトルネックを解消するだけでうまくいく。

2021年2月に発表されたマッキンゼーのレポート『日本の営業生産性はなぜ低いのか』。かなり話題になりましたね。

営業コストに対して、何倍の粗利を稼げているかを示す、独自の「営業ROI」を用いて、日本があらゆる業種でグローバル競合企業よりいかに営業生産性が低いかを証明しています。

そして、それは突き詰めれば、民間企業で働く人の平均所得が過去20年30年と上がっていない原因にもつながります。

レポートでは7つの根本課題が説明されています。

  • 課題①:組織全体の調和と協調を志向するがゆえの不明瞭な責任分担
  • 課題②:「お客様第一主義」文化に起因した非効率性
  • 課題③: 顧客との取引関係の固定化による新規成長領域へのリソース振り向け不足
  • 課題④: 前線営業マンが直接の顧客対応以外に時間をかけ過ぎている
  • 課題⑤: ITシステムの過剰なカスタマイズとデジタル化の遅れ
  • 課題⑥: 「ベンチマーク」を嫌う企業での、営業経費削減の 「相対評価」による負のインセンティブ構造
  • 課題⑦: 子会社・海外拠点へのガバナンス不足による経費削減の遅れ

天下のマッキンゼー先生は、ちょっと使う言葉が難しいですけどね笑

要するに、営業プロセスがデジタル化されていないとか、属人的で分業制になっていないとか、成果にならない非効率な顧客至上主義が根強いとかっていう話。

あるいは、「この営業経費を削減したら、効率性重視にしたら、競争相手に負けるんじゃないか」という心理が働いて、現状維持を続けてしまっているという話。

確かにどれも納得なんですが、私はただ1つだけ、ここがボトルネックじゃないかと思うポイントがあります。

それは、「考える順番」です。

「考える順番」がちょっと違う

私たちにご相談やお問合せいただく企業の中には、東証プライムやグロースに上場されている企業もありますし、社員10名以下の中小企業もあります。

ほぼすべてに共通しているのは、「顧客▶︎営業▶︎仕組み」の順番で考えていることです。

まず、顧客がいます。クライアント、見込客、リード、新規問合せ客と捉えてもよいと思います。

そこに、営業担当となる社員・メンバーをアサインします。「あなたは、●●社の担当、▲▲地域の担当ね」「あなたは、◾️◾️を売るのが担当です」のように。

相手が決まり、担当者が決まると、たとえばテレアポしたり、訪問したり、営業メールを送ったり、提案書を作ったりと、それぞれに営業活動を行うわけです。

そして、最後に仕組み化の話がやってきます。

「もっと営業活動を効率化できないか。SFAシステムはどうだ。もっとデータドリブンにしようぜ。日程調整ツールは便利か。ウェビナーを自動化するか。ホームページやSNS、動画発信もやったらどうだ。」のように。

まぁたいてい、ツールやシステムでなんとかできないか、という話に行き着くことが多いんですけどね。

売れる仕組み第一主義でうまくいく

私たちの考える順番は、ちょっと違います。

「顧客▶︎仕組み▶︎営業」の順です。

営業生産性をUPさせていくには、考える順番を変えない限り、根本解決にはならないと思っています。

まず、顧客がいます。ここは先ほどと同じです。

次に、そのターゲット顧客層を導くのに適した仕組みを設計します。車一台の設計図をつくるのと同じです。

新規顧客の獲得、関係構築・維持、追加提案など、ビジネスの売れる仕組みにおける基本要素を抑えて、顧客や自社に合った仕組みを丸ごと設計します。

必要なページ、ツール、システム、パーツ、制作物、知識や技術、チームなどもすべて洗い出します。

設計図ができたら、どのように構築するか、どのようにPDCAをまわして運用するかも決めます。月次、週次、日次レベルまでタスク分解して、ガントチャートにまとめます。

そして最後に、個々の役割やタスク、機能を遂行するメンバーをどうするか、アサインする人のことを考えます。内製か外注か、教育研修トレーニングやリソースは何が必要かも。

営業だけでなく、マーケティングやインサイドセールス、カスタマーサクセスも含め、仕組みを組み立て、動かし、成果を出していくために必要なリソースをわりあてます。

社内にリソースが乏しい場合は、設計図をシンプル化したり、様々なアウトソーシングを活用したり、と考えます。

デジタル、システム、ツールの問題じゃない

「顧客▶︎営業▶︎仕組み」の順番で考えている限り、属人的な営業スタイルから脱却することはできません。なぜなら、「まず人ありき」だからです。後からいくらデジタル、システム、ツールを導入しても根本から変わることはできません。

私たちもクライアントをご支援する際には、まず最初に仕組みファーストで設計します。例外はありません。「人」から考えるのではなく、「仕組み」から考えるということです。

あなたのビジネスの売れる仕組みはどんな設計になっていますか?

一度、見える化してみてください。仕組みファーストで考えれば、営業生産性は劇的に向上しますよ。

ぜひやってみてください。

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