マクドナルド最高益174億円を達成した「3つの秘密」。原材料高騰でも過去最高の営業利益を稼げた理由とは。

マック、最強ですね。

日本マクドナルドホールディングス、2022年1〜6月期の連結決算は、営業利益が前年同期に比べて1%増の174億円となり、1〜6月期として過去最高益になりました。

「急激な円安進行などにより、コスト上昇要因が当初の想定を上回っているとして、3月の値上げだけですべてのコスト上昇を吸収することは難しい。」

日色保CEOのオンライン会見での話もあり、原材料高の経営への影響は大きいようで、さらなる値上げも検討しているそうです。

でも、さすがマクドナルドですね。

当初の業績予想からは、直営店の原材料費が上昇して40億円の利益下振れ。さらに、コロナによる消費者行動の変化により生じた、顧客の利便性を高める店舗や人材への投資によって24億円の利益下振れ。

合計64億円もの利益下振れを吸収してあまりある増収効果で営業利益を伸ばしました。売上は11%増の1682億円、純利益も110億円と1%増えています。

日本マクドナルドホールディングスの1〜6月の連結業績の推移を見ると、2018年から5年連続右肩上がり。売上もUP、営業利益もUPです。

コロナ、原材料高騰の中でも、マクドナルドは強いのか。その強さから、私たちは何を学べるのか。3つのポイントをシェアしたいと思います。

(1)6,600万人の顧客基盤

拙著『事業復活メソッド』に加え、来週発売の新刊本『最強マーケ脳のつくり方』にも書きましたが、あらゆるビジネスにとって最も重要な資産は「顧客」です。例外はありません。全世界共通です。

そして、自社の顧客にいつでも連絡やお知らせを伝えられることも重要な点です。

ただ手元に顧客リストや個人情報を取得して保有しているだけでは、大した意味はありません。顧客視点でも何の価値も届けていませんよね。

マクドナルドは、2010年12月からアプリ提供を開始し、2018年12月時点には5,400万DL、2020年3月には6,600万DLを突破。飲食レストラン部門ではDL数、第1位です。

すかいらーく1,500万DL、ケンタッキーフライドチキン950万DL、スタバ180万DLですから、圧倒的ですね。

マクドナルドにとって「アプリ会員=顧客基盤」です。

たとえば、今回ヒットしたビッグマック2割引も、機動戦士ガンダムと組んだ期間限定商品の展開も、アプリ会員へプッシュ通知などによりお知らせすることができます。

仮にTVCMを見なくても、店舗の前を通らなかったとしても、マクドナルドで今どんなキャンペーンをやっているのか、6,600万人は知ることができます。

(2)目玉商品のCP企画力

1〜6月期のマクドナルドは、ビッグマック2割引、機動戦士ガンダムと組んだ期間限定商品が当たりました。

期間限定キャンペーンの目玉商品で、値頃感や話題性を次々と打ち出すことによって、新規客を惹き寄せるだけでなく、既存客の離脱防止効果もあります。

マクドナルドのTVCMもチラシもアプリ通知も、結局なにを推しているのか。キャンペーンの目玉商品を推していますよね。

定番商品については何も触れていません。で、裏でこっそりとハンバーガーを110円から130円に値上げするなど、原材料高騰を吸収しようとしていますね。

新規顧客の獲得も、既存顧客の維持・リピートも、結局はキャンペーン企画力です。

いつも通りの定番商品を、いつも通りの価格やオファーで、いつも通りのメッセージで伝えるだけでは、特に新規顧客には振り向いてもらえません。

すでに関係性ができている既存顧客でも、キャンペーン企画による変化・演出がなければ、いくら素晴らしい商品サービスだとしても顧客は退屈してしまいがちです。

(3)エンドレス・サイクル

PROFIT ENGINEの読者の大半は、きっと飲食レストランではないと思います。でも、考え方の本質は同じですよね。

新規顧客を獲得するために、キャンペーンを企画する。顧客基盤を増やす。

既存顧客を維持・リピートするために、キャンペーンを企画する。顧客基盤へお知らせする。

そして、このサイクルをエンドレスで、ずーーっっと延々とまわし続けていること。マクドナルドの強さですね。

業績好調の鍵は「顧客基盤」「キャンペーン企画力」「エンドレス・サイクル」の3つ。

マクドナルドほどの規模でなくとも、私たちにも真似できるはずです!