ランチェスター戦略「捨てるが勝ち」!中小企業・スモールビジネスが成功する3つの秘訣とは?

今日は、ランチェスター戦略の話です。

中小企業の生き残る道。ナンバーワン、オンリーワンになれる道。新規事業を成功させる道。経営資源が豊富な大手企業とは違い、私たちのような弱者が生き残り成功していくためには、ランチェスター戦略の考え方は知っておくべきだと思います。

私も20歳で雑誌広告代理店のフルコミ営業を始めた頃、1日中テレアポや営業活動をした後に近くの本屋へ立ち寄って、閉店までビジネス戦略やマーケティング、セールス本を立ち読みしていました。

その頃に私はランチェスター戦略と出会い、当時の営業活動はもちろん、その後に独立起業する時も、初めて事業を立ち上げた時も、ランチェスターの考え方をいつも意識してきました。

ランチェスター戦略とは

よく例として挙げられるのは、織田信長が今川義元を倒した桶狭間の戦い。今川軍2万5000に対して織田軍2,000。数では勝ち目のなかった織田軍が勝利した戦法。

また、源義経が平家に勝利した一ノ谷の戦いも同様に、平家8〜10万に対して義経軍わずか1万にも関わらず対峙して勝利。いずれもランチェスター戦略の例としてよく持ち出されます。

人もモノも金も、情報もノウハウも、あらゆる経営資源で比較すれば、到底勝ち目のないような強者に対して勝機を見出したい。「ここでなら勝負できる!一番になれる!」というポイント、突破口を探りたい。

ランチェスター戦略は、そんな中小企業や新規ビジネス、経営資源の乏しい弱者が、戦略一つで「強い弱者」に変わるための考え方です。なんかワクワクしませんか?笑

「捨てる」が勝ち

私なりにランチェスター戦略をシンプルに解釈すれば、「やらないことを決めること」、そして「やめたことで浮き彫りになった一点に集中して突破すること」です。

要するに、ランチェスター戦略は「捨てるが勝ち」ということ。捨てる、絞り込む、集中する。

2021年4月に私が出版した書籍『事業復活メソッド』でも話したのですが、私たち中小企業やスモールビジネスには、あれもこれも手を広げるような贅沢は許されません。そんな権利はないと思うくらいでちょうどいいです笑

経営のあらゆる場面で、限界まで枝葉を削ぎ落とすことです。たとえば、社員に取り組む施策を説明すれば、「え?たったこれだけですか?」と驚かれるくらいでちょうどいいのです。

捨てる、絞り込む、集中するというのは、おそらく戦略論を学んだことがある社長であれば、誰もが頭ではわかっている話だと思うんです。でも、ビジネスの現場で「捨てる」「やめる」という決断は、本当に難しいですよね。

もし仮に、「たった1つだけを残して、あとはすべて捨てなければならないとしたら?」と考えてみてください。あなたのビジネスでは、何に一点集中、一点突破、フォーカスするでしょうか?

具体的には、私はいつも3つの観点から「捨てる」「やめる」を考えるようにしています。

1つ目「顧客ターゲットを捨てる」

BtoCなら性別や年齢、所得水準、子どもの有無など、BtoBなら業種や地域、事業規模などの属性でターゲットを絞り込みます。

さらに、お悩み事や願望などのニーズもかけ合わせてターゲットを絞り込みます。特定の日常生活シーンや事業ステージに絞ることも行います。

顧客ターゲットを徹底的に絞り込む時、まず最初にやることは、既存顧客の分析です。

今いる顧客の中でたくさんのお金を払ってくれている人、長期にわたってご愛顧くださっている人、良好な信頼関係を築いている人を、具体的にリストアップします。そして、共通点や他の顧客との違いを考えます。

たとえば、子ども写真で有名なスタジオアリスは、もともと街中にどこにでもある写真館に過ぎませんでした。しかし、七五三などの子ども写真にターゲットや利用シーンを絞り込むことによって伸びました。

ターゲットを絞るということは、それ以外を捨てることを意味します。

これは、新規反響をたくさん欲しいという心理に反するようで、せっかくのチャンスを失うような感覚に陥るため、クライアントの戦略立案を議論する場合にもかなり強い抵抗があるところです。でも、結果を出すためには、妥協できないポイントですね。

2つ目「商品サービスを捨てる」

商品サービスの点数が多ければ多いほど、より幅広い顧客やニーズに応えられるような気がします。経営資源もあちこちに分散し、散漫になりがちです。管理工数も増えます。

スティーブ・ジョブズがAppleに復帰した時、最初にやったことは、10以上あった商品数を3つか4つまで絞り込むことでした。なぜなら、商品数が4つなら、すべてに最高のチームやエース級を配置できるから。

いま手元に商品サービスがあるからといって、これまで取り扱ってきたからといって、今後も売らなければならない理由にはなりません。

もし仮に、たった1つの商品サービスしか取り扱うことができないという法律があったら、あなたは何を選ぶでしょうか。売れる商品サービス、勝てる商品サービスだけに集中するには、何かしらの強制力を働かせることが効果的です。

商品サービスを捨てるのに加えて、商品サービスに付帯している特徴や機能の一部を捨てるのも効果的な考え方ですよ。

3つ目「集客販売チャネルを捨てる」

ビジネススクールでは「マルチチャネル」「チャネルミックス」のような言葉を習います。複数の新規集客経路、販売経路の組み合わせという意味です。

でも、そんなにあれもこれもやるほど、私たちにリソースはあるのでしょうか。たった1つのチャネルだけに依存している状態は不安かもしれませんが、手間ばかりかかって中途半端にしか売れないチャネルがたくさんあっても仕方がないと思いませんか?

チャネルを1つ1つ、勝ち筋に仕立てていくには、それ相応に予算も人手も集中させなくては育ちません。ナレッジの蓄積も遅くなりがちです。

売上や利益、顧客獲得に繋がっていないチャネルは、思いきって捨ててみてはいかがでしょうか。仮に1つだけには絞れなくても、売れる見込み、伸びる見込みの高いチャネルに全集中で突破口を広げるという発想を試してみる価値があると思いませんか?

極端だと感じるかもしれませんが、弱者に勝利をもたらすランチェスター戦略は、ある意味、極端になること、極端な状況を意図してつくり出すことを推奨する戦略ではないでしょうか。

常識的、一般的、よくある、平凡、バランス、分散ではダメだということですね。

ランチェスター戦略、あなたのビジネスでは、どの枝葉を削ぎ落とし、戦略的集中をつくるでしょうか。ぜひ参考にしてくださいね。