花王が始めた「肌専門ライザップ」に学ぶ、究極の二極化とは。「安さ」を推して節約志向に応えるか、「付加価値」を推して上質・高級・本格さを高く売るか。
企業も個人も、消費購買行動は、究極の二極化へ進んでいるのかもしれません。
「安さ」を推して節約志向に応えるか。「付加価値」を推して上質・高級・本格さを高く売るか。価格軸で両端にわかれる傾向が見られます。
中価格帯は「ちょうど良い」ではなく、「中途半端」「はっきりしない」と捉えられるのかもしれません。
◾️花王が始めた「肌専門ライザップ」
たとえば、今朝の日経新聞によれば、花王が11月から試験的にスタートした「エスト スキンアスリートジム」は後者の高価格・本格派にあたります。
一言でいえば、肌専門ライザップ。
年間30万円を払うと、専属の美容部員がリアルとネットでカウンセリングを実施し、肌の質向上を目指せるサブスクです。
パーソナルトレーナーと一緒に、2ヶ月で理想のボディを目指すライザップと似ていますね。実際、花王はライザップを参考にしたそうです。
世の中にはマッスルアップやダイエットを目的とする様々な場所やアイテムがあります。いくらでも見つかるし、どこでも買えます。
しかし、科学的根拠や方法論をもとに、個別カウンセリングで自分に合った診断や助言、サポートが受けられるライザップ。その他プレーヤーとは、ポジション取りが”別枠”だと思いませんか?
花王の「エスト スキンアスリートジム」も同じ。
「特定の目的に特化した化粧品はあるし、定期購入で買えるものもあるが、美のレベルアップに確信を持った消費者はいない」と。
三日坊主で続かない、習慣にならない、というニーズに、パーソナルなサービスやサポートでガッチリ応える。
花王は、理想の顔を作るために、美容のプロから直接助言を受けたいという潜在的なニーズは大きいと判断したそうです。
◾️高価格・高付加価値が売れる理由
私はInstagramで美容家の神崎恵さんをフォローしています。
彼女は年に数回、ファンを10名ほど集めて、メイクやスキンケアなどの選び方・自分に合ったやり方を個別指導する会を開いています。自分のフォロワーが「今、何に悩んでいるのか」を知る目的もあるそうです。
神崎恵さんは私が知る限り、美容家の中でトップポジションにいる有名な方です。なので、当然かもしれませんが、個別指導会への参加者を募集するたびに、毎回もう本当に一瞬で満席になるんですよね。
本でも雑誌でもネットでも、商品も情報も溢れまくっている時代に、企業も人々も、迷い、混乱し、自信を失っているのかもしれません。
さらには、自分一人のちからでは、思った通りの自分になれない、人生がうまくいかない、と悩んでいるのかもしれません。
だからこそ、仮に価格が高くても、仮に同じような商品や情報が他で見つかるとしても、確からしいトレーナーやアドバイザー、指導者、コンシェルジュから直接、自分に合った教えやガイダンスを受け取りたい。
そして、自分のビジネスや人生をより確実に変化させていきたい。
そんな志向性の企業や個人は、今後も増えていくんじゃないかと思います。
中小企業・スモールビジネスの私たちにとって、高価格・高付加価値な商品サービスを発想するためのヒントになりそうですね。