新規事業で会社を潰さない経営判断の基準とは。投資額と時間の2軸で撤退ルールを決めて、新規事業アイデアを10倍速で試そう。
最近、新規事業の戦略立案に関するご相談が増えています。
既存事業になかなか収益性、成長性が見込めず、新しい収益の柱を増やしたい。あるいは、既存事業の成功を基に、新規ビジネスに挑戦したい。
前者は、先代より事業継承した2代目3代目社長タイプ。後者は、アイデアや野心が旺盛な起業家タイプ。
前者は、ご自身でゼロから新規事業をつくった経験が乏しく慎重派。後者は、リスクを取って機動的にがんがん攻める行動派。
このようにわりとハッキリしているように思います。
◾️投資額と撤退判断の基準を決める
ファーストリテイリングの柳井正会長は、著書の中で「ビジネスは、一勝九敗である」と述べています。
新規事業を立ち上げ、成功させることは、確率10%やそれ以下。頭の良し悪しとか、先見の明の有無とか、リソースの豊富さだとか、そんなことは一切関係ありません。
新規事業は、そもそも非常に難しいチャレンジなのです。
だからこそ、新規事業への投資額と撤退基準は明確に決めておきましょう。
たとえば、株式投資で資金を1つの銘柄に全部放り込むでしょうか?きっと株価は上がるはずだと祈るばかりでしょうか?そんなギャンブルはしませんよね。
ある米国の有名投資家は、全資金を25分割して、1つの銘柄に4%を超えて買い付けはしないと言います。そして、各銘柄の株価が25%下落した時点で、問答無用で損切りするとのこと。
私たちが新規事業を考える際も同様です。1つの新規事業に投資する資金量には、明確な基準を持ちましょう。
そして、あらかじめ決めた資金の中で、成功の芽が出ないのであれば、問答無用で撤退するという非情冷徹な判断をしなくてはいけません。
なぜなら、基準があいまいだったり、臨機応変だったり、感情に流されたりすれば、最悪の場合、経営全体にとって致命傷を負いかねないからです。
◾️会社を潰さないお金と時間のルール
成功すると信じて情熱を傾ける一方で、成功確率は非常に低いということを冷静に受け止め、1つに投資する資金量と撤退基準は、絶対ルールとして決めておきましょう。
お金に関する基準を設けるのと同じように、「時間」についても基準を持つことをおすすめします。
どんなに素晴らしい新規事業プランも、最終的にはやってみなければわかりませんよね。そして、見込みがないなら、さっさと次のチャレンジへ移らなくてはいけません。
ビジネスモデルや戦略にもよりますが、なるべくクイックにテストマーケティングして、芽の出る見込みの薄いと撤退判断するまでの時間を短縮化できないか考えてみましょう。
たとえば、私たちがWeb広告によるテストマーケティングを実行するとき、かかる時間は数日〜1週間です。資金量に関わらず、共通です。
見込みがなければ、即時撤退します。問答無用です。そして、次のプランを練って、またすぐに試します。
新規事業のテストマーケティングを1年間に1個2個しかやらないのと、1年に10個20個を試すのと、どちらかより素早く可能性ある新規事業を見つけられると思いますか?
「お金」「時間」の2軸での基準やルールを決めて、新規事業をどんどん試しましょう。