JALのゲームチェンジ戦略!航空事業から会員ビジネスへ利益構造をシフトできるか

コロナの影響で、航空業界・観光業界は大打撃を受けました。

星野リゾートの星野佳路社長は、地元から1〜2時間圏内での”マイクロツーリズム”というキーワードを盛んにPRされていましたが、やや遠方への旅行需要は徐々に回復してきているようです。

一方、航空業界については大変です。特にオンライン会議が完全に普及し、出張などのビジネス需要は低迷したままです。

国際航空運送協会(IATA)によれば、2022年の世界の航空旅客数は38億人にまで回復、コロナ前の8割程度まで戻ると予測されていますが、果たしてどうなるでしょうか。

そんな環境下で、JALは、2025年度までに社員3,000名を配置転換することを決めました。航空旅客数の回復を待たずして、利益構造のシフトを図るようです。

具体的には、コロナ前には利益の約70%を稼いでいたJALブランドの航空事業から、LCC格安航空に加えて、空港販売、ネット通販、保健事業などを手がけるJALUXなどの非航空事業に、徐々に利益構造をシフトします。

実は、これはまさに、私がちょうど2年前のメルマガでも取り上げた話です。

あらゆるビジネスにおいて、JALにとって、最大の資産は何だと思いますか?

ドル箱のハワイ便でしょうか?機体でしょうか?航空事業そのものでしょうか?いいえ、私はどれも違うと思います。

JALにとって最大の資産は、顧客です。

たとえば、コロナ真っ只中の2021年度、JALの国際線旅客数は89万人、国内線旅客数は1624万人でした。ANAとの熾烈な競争に勝ち、国際線・国内線ともにNO.1となりました。また、非航空事業でも、たとえばマイル事業では会員が約3,000万人います。

顧客の個人情報や購買行動の履歴など、数千万人の規模で保有しているわけです。JAL傘下で複数の事業やブランドはあれど、すべての顧客はJALの最大の資産です。

JALが、自社を航空事業の会社だ、航空事業で稼ぐのが本業だと考えている限り、顧客に売る商品サービスは、航空に縛られ続けるでしょう。

でも、視点を変えてみてはどうでしょうか。

たとえば、JALが自社を航空事業の会社ではなく、「ビジネスや人生を豊かにする、世界と人々を繋ぐ会社だ」と抽象度を上げられるなら、別に売るものは航空券じゃなくてもOKですよね?

まさにJALが強化しようとしている、クレジットカードでも、金融サービスでも、通販ECでも良いわけです。

世界と人々を繋ぐという使命のもと、航空券にとらわれなくても、顧客に喜ばれるもの、利用していただけるもの、お金を払っていただけるものがあれば、どんどん提案していってもいいはずですよね?

航空事業は、ブランドの象徴であると同時に、新規顧客を獲得するための主要チャネルであるとも捉えられます。会員ビジネスへの利益構造シフトは、当然の経営判断だと私は思います。

私たちも同じ。視点を変えなければならない時期があるでしょう。

自社の商品サービスが何か、に固執するのではなく、顧客中心で事業戦略や構造変革を組み立てれば、おのずと突破口は見つかるものです。