Jagabee、復活の秘密!空想妄想のペルソナ設定よりも、既存顧客やファンの声に耳を傾ける。

カルビーのJagabee(ジャガビー)、食べたことありますか?

私はあまりお菓子を食べませんが、自宅近くのローソンや東急ストアに置いてあるのは知っています。

皮付きじゃがいもを丸ごとスティック形状にカットして揚げたポテト系スナック菓子。

2006年に発売されて以来、大人気。1995年発売のじゃがりこに続く大ヒット商品です。

Jagabee初期の成功要因ペルソナ・マーケティング

Jagabee初期の成功は、徹底的な「ペルソナ」でした。

ペルソナとは、ターゲット顧客・見込客像を具体化・見える化するために、ただ一人の個人を対象として設定するものです。

一般的には、実在する人物というより、架空の人物を設定することが多いです。

仮の顔写真やプロフィール、趣味趣向、生活スタイル、価値観、行動特性などを細かく書き出します。

「20代になるとダイエットを気にして急に食べなくなってしまう。その後、結婚して子どもを持つと家族のために購入するようになるが、子どもが独立する50代になると健康を意識して塩分・油分を避けるためにまた控えるようになる。」

スナック菓子業界が抱えていた20代の壁、50代の壁を突破するために、独身者が多い20代や子どもが巣立った後の50代にどうすれば買ってもらえるのか。

Jagabeeでは、架空の顧客像である20代女性のペルソナを定義して、そのニーズを満たす商品作りやマーケティングが功を奏した結果と言われました。

Jagabee、味代わり戦略ファンを失い、売上低迷...

しかし、発売から7年後の2013年。シャア拡大を狙って行った「味代わり戦略」が裏目に出ます。

うすしお味などの定番に加えて、野菜コンソメ味、ローストガーリック味、わさび塩味、トマトサルサ味など、味のラインナップを増やすことで、消費者の購入機会を増やす戦略でした。

当時、じゃがりこも同様の戦略をとっており、スーパーやコンビニの棚には、パッケージもカップ形状も酷似している2商品の各風味がズラリと並んでいました。

消費者の目からすると、少し高いが美味しくて健康的なJagabeeと、安くて様々な味を好みで選べるじゃがりこの境界線が曖昧になり、違いが分かりにくくなっていたのです。

ペルソナ・マーケティングの優等生だったJagabeeでしたが、味代わり戦略は初期に定義したペルソナから逸脱する戦略だったのです。

違いが分かりにくくなった結果、消費者はじゃがりこに流れました。同じカルビー社の別商品なので、まぁ良しとはいきません。

Jagabeeの売上は一転、前年比マイナス。パッケージリニューアルなどのキャンペーンを打ちましたが、ファン離れは止まらず。

2018年にはブランドを廃止すべきという声も社内に出ていました。

Jagabee復活の鍵は、長年のヘビーユーザーの声

2023年現在では、Jagabeeは徐々に復活してきているようです。

2020年よりJagabee ReBORNというリニューアルプロジェクトを打ち出して、起死回生に挑んでいます。

Jagabeeチームにとって復活のヒントをくれたのは、長年ファンとして高頻度で買い続けてくれているヘビーユーザーの声に真摯に耳を傾けることでした。

当初のペルソナは20代女性でしたが、性別・年代に拘らず、Jagabeeを愛してくれるファン心理を十数人の顧客インタビューを通して探りました。

その結果、顧客が求めていたのは、じゃがいもの味がちゃんとすること、素材感、シンプルさ、余計なものが加わっていない安心感。

まさにJagabeeが当初設定したペルソナのニーズを、ファンは欲していたわけです。

Jagabee ReBORNでは、定番3風味だけを残して他を捨て、期間限定で毎シーズン1つだけ商品を追加する少数精鋭主義をとるようになりました。

ブランドを立ち上げる時、確かにペルソナ設定は重要です。

でも、ブランドが支持され、商品サービスがロングセラーになった時には、大切なのは実際に好きで買ってくれているファンの声。

架空のペルソナ設定の中に答えはなく、実在する既存顧客やクライアントの声の中にヒントがあったというわけです。

空想妄想のペルソナは不要ぜんぶ顧客が教えてくれる

私たちが毎月発行している『月刊売れる仕組み戦略レポート』9月号とも、少し重なるテーマです。

「売れるリードマグネットのつくり方」を特集しており、Webから新規見込客を惹き寄せるアイテムをどのように企画制作すればいいか、事例とともに解説しています。

売れる企画をつくる7ステップを紹介していますが、その最初が「既存顧客の中からペルソナを決める」なんです。

私たちPROFIT ENGINEでは、仮にまったくゼロからの新ブランド、新商品サービスのリリースであったとしても、空想妄想のペルソナ設定ではなく、実在する人間一人をペルソナとします。

なぜなら、実在する人間ならば、直接対話もできるし、なぜ買うのか・買わないのか、興味関心や価値観、動機をヒアリングすることができるからです。

テストマーケティング段階で買ってくれたり、先行予約してくれたりした人に連絡を取り、お話を伺い、ペルソナとするときもあります。

「大事なことは全部顧客が教えてくれる」は、私たちも大切にする原理原則です。

セールスやマーケティング、売れる仕組みづくりは、私たちが思い込みや勘、憶測を持ち込んだ分だけ、顧客・見込客視点からはズレてしまい、成功確率は落ちるものです。

行き詰まった時は、既存顧客やクライアントと真正面から向き合って、インタビューしたり、過去の会話を振り返ったりしてみましょう。

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