星野リゾートのマーケティング戦略!第24回日経フォーラム「世界経営者会議」で星野佳路代表が語った逆風をチャンスに変える思考法。
第24回日経フォーラム「世界経営者会議」が、今月8日に開幕しました。
テーマは「逆風に挑む創造力」。コロナ問題やウクライナ情勢から、事業モデルの再構築を訴える意見が多いようです。
「リブランディング」「ゲームチェンジ」「ビジネスモデルシフト」など、いろんな言葉で語られます。
◾️星野佳路氏が語る、マーケティングの鍵
中でも私が気になったのは、星野リゾート代表の星野佳路氏の話です。
星野代表によれば、「日本の観光産業の課題は、インバウンド需要UP・旅行客UPよりも、そもそも利益が出せていないことにある」とのこと。
地方での投資も進まず、施設の更新も追いついていません。
では、観光産業にとって利益創出の鍵はなにか。星野代表は「スモールマーケティングに力を入れていく」と話します。
個人旅行には様々な旅の形態があり、旅行ニーズは異なります。それぞれの価値観や希望に合った旅を選ぶようになっています。
たとえば、可処分所得の少ない20-30代の若者向けには、価格を固定することによって予約のしやすさを提案すること。
Z世代の調査では、需給に応じて価格が変動するダイナミックプライシングは、予約のしにくさに繋がっていて、価格に敏感な若年層には、価格固定の方が選ばれやすいのではという仮説。
また、全世帯の10%にあたる犬を飼っている世帯向けには、ペット同伴で楽しめることをアピールしてブランドや信頼性を高めること。
さらに、旅行先でON・OFFを享受するワーケーションでは、新しい働き方・ライフスタイルの提案として新たなカテゴリーを育てようとしています。
つまり、星野代表が考える戦略の要点は、、
「属性やニーズ、嗜好性ごとに細分化したターゲットグループごとに、価値提案のメッセージを一つひとつ発信することで、星野リゾートをより幅広い顧客層から選ばれるブランドに育てる」ということです。
◾️私たちが真似できるエッセンスとは
この考え方は、私たち中小企業やスモールビジネスにも考えるべき示唆があると思いませんか?
私が星野代表の話を聞いて感じたポイントは、、
「仮に商品サービスがほぼ同じであっても、相手に合わせた伝え方・売り方のバリエーションを細かく工夫すれば、他との違いが理解されて選ばれやすくなるし、高単価で売れる可能性もある」ということです。
もちろん星野リゾートには、「星のや」「界」「リゾナーレ」「OMO」「BEB」など多様なブランドを持っています。
しかし仮に、たった1つしか商品サービスを持っていない中小企業やスモールビジネスであっても、顧客層A向けにはメッセージA、B向けにはB、C向けにはCと区別することはできるでしょう。
たとえば、私たちPROFIT ENGINEの場合、『月刊売れる仕組み戦略レポート』では、売れる仕組みや仕掛けの戦略や技術を、最新の成功事例とともに毎月お届けしています。
そして、商品サービスは同じでも、伝え方・売り方にはいくつかのバリエーションがあります。
営業社員のテレアポや飛込のような人海戦術に頼る売り方をしている会社の社長向けには、「営業社員依存から仕組みで稼げるマーケティング・ファーストな会社を目指す」という価値を提案しています。
一方、マーケターやWeb広告代理店向けには「結果の出せるマーケティングパートナーになるための情報源・ネタ帳」となります。
ひとり社長やコンサルタント向けには「働く時間を増やさずに、新規クライアントが集まる仕組みをつくろう」となります。
それぞれのターゲットごとに、Facebook広告やYouTube広告で伝えるメッセージも、書籍や他商品サービスを提案するメッセージも、すべて変わります。
◾️事業再構築の突破口を今すぐ見つけよう
あなたの商品サービスは、誰に価値貢献できるでしょうか?
あなたの商品サービスが役立てる顧客層は、たった1つではないと思いませんか?
試しに3つのグループを考えてみてください。そして、それぞれにどんなニーズや嗜好性があるか、あなたの商品サービスがどのように応えられると提案できるか。
紙に書き出してみれば、きっと事業成長のアイデアが浮かぶと思いますよ。