ヘルスケア分野の創業期ベンチャー会社に、私が個別コンサルでアドバイスした採用課題を解決するヒントとは。

昨日17時より、個別コンサルセッションがありました。

テーマは、人材採用です。

ご相談いただいたのは、ヘルスケア分野の人材紹介派遣、ITコンサル、インフラ構築などのサービスを提供している会社です。

創業してまだ1年半、社長と創業メンバー数名でゼロイチをやってきて、まず立ち上がりの業績は好調。

これからスケールさせていく成長フェーズへと移行したいタイミングです。

エンジニア、営業、カスタマーサクセス、デザイナーなど幅広い職種やポジションで、今後の組織の中核を担う人材が必要です。

◾️いま本当に採用すべき人材は誰か

商品サービスやソリューションで事業ドメインを定義するのではなく、ターゲット顧客層で定義してきたタイプの会社です。

特定のニッチなターゲット顧客層への価値貢献にコミットしているため、クライアントからの要求要望に幅広く応えてきました。

そのため、職務要件・業務要件が明確にしづらいのが難点です。

事業の成長フェーズと職務・業務要件をあわせて考えると、最近日本企業にも求められている「ジョブ型」ではなく、臨機応変で柔軟に動ける人材が欲しいところです。

未経験者ではなく、実務経験のある即戦力人材。一つひとつを教育指導・育成している時間的余裕はありません。

ワークライフバランスよりも、代償を払うことを厭わず、役割と責任、実行、成果にコミットできる自走型人材。

このあたりが強い組織づくりには必要なのですが、正直そんなスーパースターはなかなか採用できません。

◾️組織の中核を担える人材はどこにいるか

マイナビ転職やWantedlyでの採用活動から母集団形成しようとされていましたが、応募の量・質ともにうまくいかないそうです。

組織の中核を担える即戦力やスター人材は、求人媒体のデータベースにはあまりいないでしょうね。

媒体で広く募集をかけて待っているだけでは、良い人材がいたとしても存在にすら気づいてもらえないでしょう。

人材紹介会社に頼んでも、繋いではくれるが、手数料が高い、入社後のアンマッチや短期退職があるとのこと。

そこで私は「ダイレクトリクルーティングで一点突破するのはどうですか?スキル経験条件で絞り込みをかけ、個別スカウトメール配信で口説くのは?」というアドバイスをしました。

◾️個別スカウトをバカにしてはいけない

特別な手法ではありませんが、ネームバリューや就労条件面で惹き寄せるのが難しい中小企業やスタートアップにとっては、最適な手法の1つ。

「あぁ、はいはいスカウトね、それは知ってる」と思われる会社は多いでしょう。

でも結局、スカウトメールを送れていない、PDCAがまわせていないところが多数派です。

要するに、実行完徹ができていないんです。もったいない...!

短期間で素早く、欲しい人材をピンポイント1名や2名だけ採用するなら、個別スカウトメール配信での一点突破に集中するのが良いです。

根本の発想は、大網漁・長距離砲ではなく、一本釣り・接近戦で口説くこと。

実際に、私たちの他クライアントでもスカウト一点突破で採用成功しています。採用コストも紹介会社に手数料を払うより、格段に安いです。

もちろん、絞り込み条件やスカウトメール原稿を工夫改善して、良い人材からの反響が集まるようにPDCAをまわすことは必須ですよ。

このあたりは、結局のところ、セールスライティングであり、マーケティングと同じです。

加えて、アンマッチを防ぐために、採用プロセスの改善方法についても、あわせてアドバイスさせていただきました。

◾️創業期のカオスを押し付けないこと

それから、もう一点。

今回ご相談いただいたヘルスケア分野の会社の場合、事業のスケールしやすさを考えれば、ターゲット顧客層だけでなく、提供ソリューションもあえて1つに決めるのが得策です。

なぜなら、組織づくりの観点からも、採用戦略が立てやすくなるからです。

もちろん、スケールして拡充された顧客基盤から、他の価値提供も幅広く提供していくのは良いのです。事業方針を変える必要はないと思います。

しかし、事業をスケールさせる初期段階においては、、

「いかにビジネスモデル、商品サービス、売り方をシンプル化するか」
「いかに事業のシンプルさを維持するか・複雑にならないようにコントロールするか」

これが、生命線です。

「いまは顧客基盤を一気に拡張する時期だ」と狙いを定めて、スケール向きな商品サービスに集中する方が、ビジネスを成長軌道へ乗せやすいものです。

社員スタッフの皆さんも、個々がいま何を求められているか・追うべき数字はどれか・いま何をすればいいのかを見失いにくく、マネジメントも簡単です。

すなわち、ジョブ型とまできっちり業務要件を定義できなくとも、ある程度、採用入社した後にまず何を求められているかは、明確に意思伝達することができるはず。

このように事業のスケールのさせ方を考えれば、「あれもこれも」ではなく、会社の中核を担う人材に入社1日目から求めるマスト条件もハッキリできると思います。

もしあなたの会社でも同じように、事業の成長フェーズで採用を強化したいなら、参考にしてみてくださいね。