事業成長のボトルネック(後編)!モノ売りから脱却して専門家ポジションを築こう。無意味な謙遜やメンタルブロックを振り払って、今日この瞬間から専門家を名乗ればいい。
最近5年のクライアントを振り返ってみると、大きく4タイプの業種にわかれます。
(1)コンサル・研修・士業
(2)代理店ビジネス
(3)人材紹介・派遣ビジネス
(4)SaaS系ツールベンダー
昨日のメルマガでは、私たちの現在・過去のクライアントを思い浮かべながら、4タイプそれぞれによくある経営課題について話しました。
新規顧客獲得にせよ、求職者獲得にせよ、結局いずれも、セールスやマーケティング、売れる仕組みづくりが課題ではあるのですが、大多数に共通する”思い込み”があるんです。
この思い込みさえ外れれば、売れる仕組みのバリエーションはグンと広がり、ビジネスの成長速度もギアチェンジできるんですが、何だと思いますか?
大多数に共通する”思い込み”とは、「自分には専門家は名乗れない」という無意味な謙遜です。
どういう意味でしょうか。もう少し説明しますね。
もしあなたが求人広告代理店だったら...
たとえば、求人広告代理店の場合、営業社員の皆さんは求人広告を売ろうとします。
テレアポで新規商談の機会をつくり、リクナビネクストやマイナビ転職、dodaなどの求人媒体を販売します。
でも彼らの頭の中には「自分は求人広告のエキスパート」「うちの会社は人材採用の専門家集団」というセルフイメージはありません。
求人広告を売るセールスパーソン以上の認識は持っていないのです。
もしあなたがエキスパートなら...
少し抽象度が高い話になりますが、よく考えてみてください。
もし仮に、求人広告代理店が「求人広告、人材採用のエキスパート」というセルフイメージを持っていたら、どんな可能性が生まれるでしょうか?
自分たちが売りたい求人広告を直接的にセールスする前に、自分たちが求人広告や人材採用の専門家であることを認知・信頼していただき、興味を持って問い合わせていただくために、様々な広報PR・広告宣伝活動が考えられますよね。
さらに、いきなり求人広告どうですか、ではなく、別のフロントエンド商品を有料で販売することだって検討できるかもしれません。
たとえば、求人広告からエンジニア採用を成功させる知識や事例をまとめた本を書いて、Facebook広告やYouTube広告で販売したって良いわけです。
施工管理技士の採用手法と正しい選び方を動画講座にして、Googleリスティング広告で販売したって良いですよね。
新しい取り組みとして、プレスリリースだって出せますし、メディアに取り上げられれば、講演依頼や取材問合せが来る可能性だってあります。
もしあなたが人材紹介・派遣会社なら...
人材紹介・派遣ビジネスでも同じです。
ただ求人掲載して応募を集めて、面談して転職どうですか、ではなく、たとえば「ミドルシニア転職の専門家」というセルフイメージがあれば、ちょっとやり方は変わると思いませんか?
「他の紹介派遣会社とは違うぞ」と市場や求職者から認識してもらえる可能性が出てくると思いませんか?
ミドルシニアの転職は他世代と何が違うのか、転職にうまくいく人とうまくいかない人の違いは何か、年収UPのポイントはどこか。
転職支援を売り込む前に、失敗しない転職活動や彼ら彼女らの人生をより幸せにしたい想いから、伝えられる専門知識や情報があるはずです。
もしあなたがSaaS系ツールベンダーなら...
SaaS系ツールベンダーも同じです。
たとえば、自分たちは店舗集客支援ツールを開発販売している、という認識ではなく、「店舗集客のエキスパート」と考えればどうでしょうか?
良いツールを作ったので導入しませんか、ではなく、小予算から始める店舗のためのWeb集客入門、みたいな本を出版しても良いですよね?
だって店舗集客のエキスパートなんですから。
もう無意味な謙遜はいらない
要するに、今日伝えたかったことは「モノ売りになるな、専門家になりましょう」っていうことです。
代理店だからメーカー商品を売らなきゃ、人材紹介・派遣ビジネスだからお仕事紹介を売らなきゃ、SaaS系ツールベンダーだからツールを売らなきゃ、じゃないんだっていうことです。
ほんのニッチな分野でも良いんですよ。
「特定の問題解決分野のエキスパートになろう、いやすでにエキスパートなんだ」というセルフイメージに変わるだけで、売れる仕組みに様々な選択肢が生まれ、ビジネスを劇的に成長させる可能性が広がります。
さらに、仮に最終的に売る商品サービスは同じであっても、市場や見込客、顧客からの見られ方が変わります。それは、つまり、より信頼され、求められ、売れることを意味します。
ピーター・ドラッカーも言っていますよね。ポジショニングやブランディングを考える問い「あなたは市場から何によって憶えられたいか」。
モノ売り屋ではなく、特定分野の問題解決エキスパートだと憶えられたくはありませんか?
不可能なことなど何もない
でも実は、私たちが提案をすると、「いや、今のうちの会社にはそれはできない」「経験の浅い社員ばかりでその段階にはない」「うちには難しい、無理だ」という反応が大多数なのです。
そして、「それよりもまずは、この商品をなんとか手っ取り早く売らないと...」という思考になるんです。モノ売りマインドから抜け出せないんです。
4タイプの中で、唯一”思い込み”が外れやすいのは、コンサルティングビジネスです。
なぜなら、もともと専門知識や経験、技術を売りにしているビジネスだからです。
それでも案外と、メンタルブロックがかかるくらいです。「いや、そのテーマはもっと有名で実績ある権威的な先生がすでにいるから...」のように。
「盲目の国では片目でも見える者が王となる」
これは英国のことわざであり、米国の有名なダイレクトマーケターの言葉でもあります。
比較する対象は同業競合ではありません。市場や見込客、顧客を見ましょう。
もし彼らよりもほんの少しでも専門知識や経験、情報をあなたが持っているなら、今日この瞬間から専門家を名乗っていいんですよ。
だって、その知識や経験を教えてあげたら喜んでくれる会社や人がいると思いませんか?それで十分だと思いませんか?あなたが誰それよりも上から下かなんて、ほとんど誰も気にしていませんよ。
セルフイメージが変わるだけで、ビジネスは伸びます。
そして、専門家を名乗るのに、誰の許可も必要ありません。誰かのお墨付きも必要ありません。そんなものは永久に与えられることはありませんよ。
あなたは今のビジネスに本気ですか?
それでも自信がないと言うなら、「必死に勉強してください」という感じです。顧客に役に立ちたい、喜んでほしいと、ビジネスに本気ならば勉強しましょう。
そりゃそうですよね、待っていても誰も私たちを専門家にはしてくれませんから。自分から専門家になると決めて、それに相応しい行動を取るまでです。
あなたが躊躇している分だけ、本当はお役に立てたかもしれない相手とのご縁をミスミス逃しているかもしれませんよ。それどころか、あなたが躊躇しているせいで、相手がうまくいかない方向へ進んでしまうかもしれませんよね。
今日、この瞬間、今すぐ、専門家を名乗れば良いんです。誰かのビジネスや人生の手助けをするために。