自分で選んで、決めるだけ!起業家やマーケターと名乗るのに、誰からの許可も必要ない
あれは確か、23歳の頃だったはず。ある著者の出版記念セミナーに参加したのです。
彼は当時、社員10名ほどのホームページ制作会社を経営している40代前半の社長さんで、ちょうど3冊目の本を出版したところでした。彼は今ではおそらく10冊かはるかそれ以上の本を出版していて、ビジネス著者としてかなり有名人になっています。
セミナーの内容はまったく記憶に残っていませんが、セミナー後の交流会で名刺交換した時に笑われたことだけは覚えています。名刺が切れてしまって仕方なく、名刺サイズのカードを買ってきて、”起業家 村上智彦”と連絡先を筆ペンで手書きして差し出したのです。
「職業=起業家」と書かれた名刺は、後にも先にも、自分が作ったものだけ。誰からも受け取ったことがありません。
学生時代から完全歩合制営業として雑誌広告を売っていた私は、23歳になる頃には、営業コンサルタントや受験教育ビジネスをやっていました。
ちょうど、完全歩合制営業をする個人事業から、何かビジネスを生み出したいともがいていた時期でした。ビジネスが何なのか、右も左も前も後ろもわからないまま、ただ闇雲に動き回っていた時期でした。
名刺に書く職業や肩書きが、”起業家”以外に何も思いつかなかったのです。
私はメディアを騒がせるような何か立派な事業をおこしたとか、数十億や数百億円規模のビジネスを作ったとか、どこかに上場したとか、まったくそのようなことはありません。
どこの会社にも、どこの団体・協会にも所属していない、ただ身ひとつの人間でした。
VCから資金調達をして、社会課題を解決する素晴らしいスタートアップだけを起業と呼ぶのなら、私は起業家でも何者でもないでしょう。でも、ゼロから自分でビジネスを生み出し、人々や社会に貢献する仕組みをつくる人を起業家と呼んで良いのなら、私は起業家です。
日本は他国に比べて、起業マインドが低いと国内メディアは煽っていますね。
まるで、起業するためには何か知識やスキル、経験が必要であるかのように、起業するためには何か特別なビジョンが必要であるかのように、誰かから許可をもらわなければならないかのように聞こえます。
確かに、誰しも、”今のままの自分”で良いはずはありません。明日、より成長した自分になるために、今日を精一杯生きなくてはなりません。でも、私は幸いなことに、誰からも起業家やマーケターと名乗るために、許可を得たことも求めたこともありません。
自分で選んで、決めただけです。
起業とは、資格試験に合格するようなものでも、何かを身につけたから準備万端になるようなものでもないと私は思います。「起業家として生きる」「起業家の道を進もう」と決めて、信じてやるだけです。
起業家なんて、なにも特別じゃないし、大したことでもない。ただの職業選択の一つ。もっと気楽にシンプルに考えればいいのにと思います。
そして最後に、同じようなことが社内で新規事業やテストマーケティングに取り組むケースでも言えますよ。