努力を最小化、成果を最大化する9つの技術。グレッグ・マキューン著『エフォートレス思考』のアイデアをビジネスへ応用する方法。

今日は、努力を最小化、成果を最大化する9つの技術について話します。

日本人は、我慢や努力が励賛される傾向にあります。「もっと頑張ろう、もっとできる」と信じて、より多くをいかにこなせるか、そのための方法や工夫を無意識に考えがちです。

最近でこそ「頑張らない、無理しない」という風潮が国を挙げて叫ばれていますけどね。

グレッグ・マキューン著『エフォートレス思考』では「努力を最小化、成果を最大化」と言っていますが、ビジネス・自己成長のために努力するのはあたり前だし、良いことだと私は考えています。

ただ今回の論点は、要するに、「努力のコスパを考えましょうよ!」「正しい方向性で努力できてますか?」というところですね。

なんでもかんでも、お金や時間をかけて頑張ればいいってもんじゃない、っていうことですね。

■努力を最小化、成果を最大化

どちらかというと、社長・事業主の私たちは、おそらく人並み以上に努力したり、犠牲を払ってきたり、頑張ってきたりしたタイプの人種ですよね。

しかも努力や犠牲、代償であるとすら思っていなかったりもする。呼吸をするようにやる、やりたいからやる、楽しいし好きだからやる。

良く言えば、仕事におけるあたり前の基準が高め。だから、自分が思っている以上に、「もっと頑張ろう、もっとできる」と考えがちかもしれません。

それが業績アップや安定したチーム作りにつながっていれば良いと思うんですが、実際にはなかなか苦労されている社長・事業主の方、多いんじゃないかと思うんです。

そこで、今日は、グレッグ・マキューン著『エフォートレス思考』をもとに、努力を最小化して成果を最大化するための考え方を、私たちがビジネスにどのように応用できるのか、9ステップにわけてシェアします。

■『エフォートレス思考』とは何か

グレッグ・マキューン氏の前著『エッセンシャル思考』では「何をやるか」を見極める技術だったのに対して、『エフォートレス思考』は「どのようにやるか」を極める技術です。

「何をやるか」というのは、私たち社長・事業主の立場で考えると、売上利益を伸ばすために何をするか、業績を安定させるために何をするか、人を採用して育てるために何をするか。

そのために「何をやるのか・やらないのか」という意思決定の基準と言えます。

「どのようにやるか」というのは、何をやるかを見極めた上で、それをどのように実行して成果に繋げるか、という話です。

たとえば、Web広告を出稿して、新規問合せを増やそうと決めたとします。

これは「何をやるか」を決めたということ。その上で、Web広告を誰がいつどのように運用して、成果を出していくのかというのが、「どのようにやるか」ということです。

■フォーカスできる状態をつくる

『エフォートレス思考』は「どのようにやるか」を極める技術なのですが、具体的な方法論の前に、コアとなる考え方・アイデアがあります。たとえば、、

・頭の中の不要品を手放す
・「休み」で脳をリセットする
・今、この瞬間にフォーカスする

この3つは、頭の中にある雑念や不安、マルチタスクによる集中力やエネルギーの分散をさせないための方法ですよね。

せっかくエッセンシャル思考でフォーカスすべき「何」を見極めたのに、実行する自社や自分自身の状態がフォーカスできていなければ、うまくいきません。

■着実に前進して達成を目指す

・ゴールを明確にイメージする
・スモールステップで始動する
・手順やプロセスを限界まで減らす
・上限を決めてゆっくり進む

この4つは、ゴールを明確に設定したら、その目指すべき状態に向かって、焦ったり飛び越えたりしようとせず、一歩一歩着実進むことで、成果につなげていこうという方法ですね。

地上にいる人に、いきなりビルの3階まで飛び越えてくださいと指示しても難しいですよね。だから、一段一段を小さく、なるべく簡単にして、登りやすいようにしようという意味です。

また、一時期は全力疾走したけど、燃え尽きて止まってしまっては、ビジネスが安定成長しませんよね。だから、行動量や時間数のペースに上限を決めて、あえてゆっくり進むことを奨励しています。

■一生モノの知識を身につける

一生モノの知識を身につけるというのは、努力を最小化して成果を最大化するエフォートレス思考とどう関係があるのか、ピンとこない人もいるかもしれません。

ここでは、小手先のテクニック、一時のトレンドや枝葉の知識や技術に振り回されるのではなく、時代を超えて不変の本質や原理原則を学ぼうという意味です。

本質や原理原則をきちんと学ぶことによって、その応用については頭で考えようと教えています。

断片的でトレンドな知識やテクニックを追いかけ続けるのは、時間の無駄。成果になるとしても、長続きはしない。一度しっかりと本質や原理原則を学べば、振り回されることなく、安定して成果を出せるようになるという意味ですね。

■勝手にまわる仕組みをつくる

機械的な作業や習慣、ルーティンは、頑張ったり、記憶したり、考えたりしなくても、自動的にまわるような仕組みをつくっておくことも述べています。

これは事務作業というだけではありませんよ。

あらゆる仕事について、業務タスクのチェックリストやTODO、業務プロセスや実行ガントチャートが整理されていれば、いちいち指示や管理をしなくても、誰でもその通りに業務を実行できます。

他にもたくさんの方法論やアイデアが紹介されているのですが、私が『エフォートレス思考』を読んで、中心的なアイデアだと感じたポイントは、以上です。

それでは、『エフォートレス思考』をもとに私が考える、ビジネスの現場へ応用するための「9つの技術」を見ていきましょう。

◾️技術1: 売れる仕組みの設計図を描く

まず最初に、ビジネスや売れる仕組みの全体設計図を図解しましょう。

新規客獲得・見込客集客、顧客との関係構築・維持、商品サービス販売など、あなたのビジネスでやっている施策や打ち手、プロセスを洗いざらい書き出して、全体設計図を見える化しましょう。

うちの会社では、A0サイズの紙に売れる仕組み設計図をまとめて、社員・メンバー全員がオフィスや自宅のホワイトボードに貼り付けています。

常に売れる仕組みの設計図が見えるように、全員が共通の絵を見えるように。

そして、自分の担当する実務は何のためにやっているのか、前後プロセスはどうなっているか、改善成長のボトルネックはどこにあるかが、誰でもすぐにわかるように。

改良が加わると、ver.2、ver.3みたいに仕組み図が更新され、その都度、張り替えます。

◾️技術2: 2軸マトリックスで分類する

今やっている施策を、2軸で整理しましょう。タテ軸は「成果」、ヨコ軸は「時間」です。

タテ軸は上にいくほど成果が大きく、下に行くほど成果は小さい。ヨコ軸は右に行くほど時間が少なくて済み、左に行くほど時間がたくさん必要になる。

技術1で書き出した現在やっている施策や業務を、ザックリと4分類することが技術2の目的です。

・時間が少なく、成果が大きいもの
・時間が多くて、成果が大きいもの
・時間が少なく、成果も小さいもの
・時間が多いのに、成果が小さいもの

◾️技術3: 成果を生まない行動を捨てる

・時間が少なく、成果も小さいもの
・時間が多いのに、成果が小さいもの

必要な時間が多くかかるのに、成果が小さいものを捨てるのは理解できますよね。

時間が少なくて、成果も少ないものは、なぜ捨てなければならないのでしょうか。かけた時間だけの成果が得られるのなら、残しておいてもいいのではないかと思うかもしれません。

でも、私のおすすめは、捨てることです。

なぜなら、必要な労力や時間が少ないとはいえ、ゼロではありませんよね。その労力や時間を、大きな成果を生み出すものに集中させた方が良いと思いませんか?

それに施策や業務数が多いと、それだけ集中力や管理の手間も散漫になりやすいものです。

◾️技術4: 業務フローを見える化する

大きな成果を生み出す施策や業務について、手順やプロセス、フローをTODO分解して書き出し、見える化しましょう。

たとえば、郵送DMで新規開拓のための反響を獲得するケースを考えてみましょう。

・ターゲット、提案内容、通数、日程を決める
・印刷配送業者へ見積依頼・日程連絡する
・DM原稿を作成する
・宛先リストを作成する
・印刷配送業者へ宛先リスト、原稿を入稿する
・印刷配送業者へ請求書発行を依頼、入金する
・印刷配送業者によるDM発送完了を確認する

このように、タスク分解や個々の業務フローを見える化していきましょう。

うちの会社では、GoogleスプレッドシートにTODOリスト・ガントチャートを書き出し、担当者やルーティンサイクル、完了期日が一覧になっています。

これも社員・メンバー全員と共有するものです。

◾️技術5: 各業務の時間数と成果を見積もる

書き出した業務フローのプロセスやTODOタスクごとに、実行にかかる時間数を書き出しましょう。

あまり細すぎても仕方がないので、私たちの場合には、15分単位で見積もっています。

同時に、大きな成果を生み出す各施策や業務について、具体的に現在、どれだけの成果が出ているのかを数字で書き出します。

私たちがやっているのはビジネスですから、売上や利益などの「お金」で書き出すのがおすすめです。

「まだ成果には繋がっていないけど、これから成果が出るはず...」という期待や憶測ではなく、いま現在のリアルな数字を書きましょう。

◾️技術6: 成果を生み出すコアを見極める

大きな成果を生み出す施策や業務に、どれだけの時間をかけて、どれだけの成果を生み出しているのか、計算してみてください。

最小の労力や時間で、最大の成果を生み出しているのは、どの施策でしょうか。次点はどの業務でしょうか。逆に、かかる労力や時間に対するコスパが悪いのは、どれでしょうか。

◾️技術7: 優先順にリソースを割り当てる

計算結果をもとに、最小の労力や時間で、最大の成果を生み出している順に、優先度を確認しましょう。

そして、社長や社員スタッフの毎週や毎月働く時間数に80%を掛け算して、時間数の総計とし、優先度の順にプロセスやTODOタスクごとに、具体的な実行担当と時間数を割り当てていきましょう。

◾️技術8: 自動化・簡素化・外注化する

たいていの場合、最小の労力や時間で、最大の成果を生み出す優先順に割り当てていくと、キャパオーバーになると思います。

つまり、労力や時間に対して生み出す成果のコスパが悪い、優先度の低い施策や業務に割り当てる担当者や時間数が足りなくなると思います。

そこで、考えるのは、自動化や簡素化、外注化です。

人間がやらなくてもツールやシステムなどを活用して、自動化することによって、かかる時間数を削減できないか。プロセスやTODOタスクをもっとシンプル化することによって、かかる時間数を削減できないか。外注化することによって、社長や社員スタッフにかかる時間数を削減できないか。そんなことを考えます。

ツールやシステム、外注にお金をかけたくないという場合は、コスパが悪くて優先度の低い業務や施策は捨てましょう。

なぜなら、先ほど『エフォートレス思考』で紹介したように、上限を決めてゆっくり着実にゴールを目指したいからです。無理をしても良い結果にはなりません。

◾️技術9: 時間割をつくる

最後にやることは、確実に実行できるように会社全体、チーム全体、メンバー個人ごとに、時間割をつくることです。

学生の頃、教室に時間割がありましたね。1時間目は英語、2時間目は数学、3時間目は.. のように1日のスケジュールが決まっていて、その通りに行動しましたね。

同様に、なるべく会社全体、チーム全体で、時間の使い方に関する基準を決めておくと、各メンバーもそれに合わせた時間割を組むことができるので、迷わせません。

チーム全体で、メンバーみんなの生産性を守れるような環境づくりをしましょう。

9つの技術を実際にやるには、ちょっと面倒だな、手間がかかるなと思うかもしれませんが、一度やるだけで、会社全体、チーム全体、メンバー個々の生産性はかなり変わります。

ぜひ取り入れてみてくださいね。

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