ディズニープラスを黒字化する方法。わずか3年で会員数1億7600万人を突破した動画配信事業を、15億ドルの営業赤字から救うには。

米ウォルト・ディズニーの動画配信事業が黒字化の壁にぶつかっています。

ディズニープラスは、動画配信サービスとして後発ですが、わずか3年で会員数1億7600万人ほどまで拡大してきました。

7〜9月期だけでも約1,210万人増えています。米ネットフリックスの会員数2億2,300万人との差を縮めていると、メディアは報じています。

しかし、部門の営業赤字は15億ドル。日本円では約2,100億円です。

独自作品の制作コスト、マーケティング投資がかさみ、2019年秋以降で最大の赤字幅だと言います。株価も急落しています。

ちょうど1週間前に開かれた決算説明会では、ボブ・チャペックCEOは黒字化に向けて、値上げと広告付きプランの導入を決めたようです。

米ネットフリックスなどの他の動画配信サービスと同じ道をたどる選択をしました。

同時に、動画配信事業全体のコスト削減、さらにはテーマパークなどの人件費・採用削減にもあわせて取り組みます。

◾️もし私がディズニーのCEOだったら...

もしあなたが、ディズニーのCEOだったら、どうしますか?どうやって黒字化しますか?

どうもメディア報道やCEOの話、株主たちの視点を見ていると、しっくり来ないんですよね。

ディズニープラスが、米ネットフリックスの会員数と差を縮めたとか広がったとか、なんか関係あるんでしょうか?

広告付きプランなんかやる必要あるんですかね?株主の圧力に負けているだけとしか思えません。

そもそも他の動画配信サービスと本当に競合しているのでしょうか。もちろん動画配信サービス単体で考えれば、競合していますね。

でも、ディズニーの事業ポートフォリオ横断的な見方をした場合に、ディズニープラスってどういう位置付けなんでしょうか。

私は市場・顧客とテーマパークを繋ぐ、リストブランディング商品だと思うのですが、どうでしょうか。

◾️ディズニープラスの位置付けと役割

リストブランディング商品とは、顧客との関係構築・維持・強化するための商品です。

いくらディズニー大好きなファンであっても、毎日や毎週ディズニーに行く人はほとんどいないですよね。

だから、来園と来園の間にも、いつも近くにディズニーの世界を感じられる、あるいは再び夢の世界へ遊びに行きたいと思わせるようなアイテムとして、ディズニープラスがあると思います。

米ネットフリックスはじめ、他の動画配信サービスは違います。動画配信がほぼ唯一の商品です。そこで利益を稼がなくてはなりません。

しかしディズニーの強みは、動画配信ではありません。

独自の世界観であり、他では真似できないコンテンツ力であり、テーマパークでの体験価値を提供できること。

仮に利益商品としてのテーマパークが最バックエンドだとすれば、ディズニープラスの役割は顧客との関係を繋ぐこと。

テーマパークへの来園促進であり、限定グッズやデジタル商品などのクロスセル促進であるはず。

来園制限がネックになるならば、オンライン来園でもいい。VRでアトラクションに乗ってもらえばいい。

日本にいながら、米国フロリダのディズニーリゾートへ来園する方法を提案すればいい。

◾️事業間・商品サービス間の連関を見る

話を戻すと、リストブランディングという観点では、ディズニープラスの会員数が爆伸びしている事実だけで、十分に役割を果たしていると言えます。

確かに制作コストやマーケティング投資を無尽蔵にとは思わないので、再調整しなければなりませんけどね。

でも、動画配信事業の赤字が問題というよりも、本当の問題はそこじゃないのでは...。

ディズニープラスに集まっている顧客会員基盤に上位の価値提案ができていない、アップセル・クロスセルができていないことが課題なんじゃないかと思いますね。

あなたはどう思いますか?