電通鬼十則の教え「仕事は自ら創るもの」。私が今年一番の失敗から学んだこと。クライアントへより良い未来への選択肢や方法があることを提案する責任。

電通「鬼十則」をご存じですか?

電通の4代目社長、吉田秀雄氏が、昭和26年8月に社員のために書き留めたビジネスの鉄則、原理原則をまとめたものです。約70年前ですね。

人生やビジネスの本質や原理原則をまとめた書物には、いろいろあります。

聖書、論語、コーラン、孫子の兵法、マキャベリの君主論など。般若心経、ピーター・ドラッカー氏の経営哲学、今年亡くなった稲盛和夫氏の経営原則本もあります。

でも、何年、何十年、何百年経っても、使う言葉や表現こそ古さは感じるものの、そこにある教えは時代や流行を超えて不易です。

数ある人生やビジネスの伝える教えの中で、私が感じた電通「鬼十則」は、10項目309文字から構成されています。

もっと身近というか、日々のビジネスや生活に目線が合わせたものです。よくある内容の薄い自己啓発書とも違い、リーダーシップ論とも違うように思います。

私にとっての電通「鬼十則」は、徹底的なダメ出しであり、圧倒的な危機意識であり、一瞬で崖っぷちまで自分を追い込むものであり、まるで鬼上司です。

そんな私の鬼上司、電通「鬼十則」の中から、私が大好きな教え、そして今年イチの失敗から得た学びをシェアしたいと思います。

◾️鬼十則その1:仕事は自ら創るもの

「仕事はこちらから迎えに行くものだ。仕事は向こうからやっては来ない。」

私たち社長・起業家・リーダーになるような人なら、”そんなことはあたり前だ”と流しがちですが、本当に徹底できているでしょうか。

たとえば、私が今年やってしまった失敗の1つは、クライアントへの追加提案をするタイミングが遅かったがために、貢献機会を逃したケースです。

採用領域の代理店ビジネスをやっているクライアントです。営業の人海戦術依存から脱却して、反響型へシフトしたいが、社内マーケターもいないし何からどうして良いかわからない。

そこで、ゼロから売れる仕組みづくりを作ろうと提案し、設計図と構築プロセスを計画・実行して、幸い6ヶ月後には成果をあげていました。

そこまでは、よかったのです。仕事を自ら創り出せていたと思います。

しかし、売れる仕組みづくりに完成はありません。さらなる事業成長のための改善改良、機能拡張することで、ビジネスはますます加速します。

◾️意思決定者は、私ではない

私は、クライアントにさらなる成長機会を創るための追加提案を、もっと早いタイミングで切り出すべきだったのです。

でも私は、クライアントの事業収支や社内状況を見ていて、良きタイミングをもうちょっと待ったほうが良いかなと感じてしまいました。

クライアントに兆しが見えるタイミング、相談があるタイミングを待った方が良いかなと思ったのです。

しかし、それは間違いでした。クライアントが気づくのを待っていてはダメ。クライアントが気づく前に、新たな提案、新たな成長機会、次に進むべき道を先んじて持ち込むべきだったのです。

やるか・やらないか、いつやるかを決めるのは、100%クライアントです。私が”まだ早いのでは”などと、偉そうに判断すべきことではなかったんです。

◾️顧客により良い未来を提案する責任

あなたもちょっとだけ考えてみてください。

私たちは、何のために顧客やクライアントに伴走しているのでしょうか。私たちの責務は何でしょうか。

それは、クライアントが自社自分だけでは気づけない、成長機会や達成への道筋、将来の姿を”見える化”してあげるためではありませんか?

仮にすぐGOでなくとも、より良い未来のための次のステップがあることを、私はせめて伝えることはしておくべきだったんです。

「鬼十則その1:仕事は自ら創るもの」を読み返して、私たちは上述の失敗・反省を思い出し、9-11月にかけては、翌年翌期の成長戦略を各社へ遠慮なく提案しました。

待つのではなく、ドンドン提案する、ドンドン動く。動いた結果を見れば、失敗から学んで良かったと心から思えます。

私たちは意思決定者ではない、決めるのはクライアントです。だから、身勝手に躊躇したり、言い訳したり、判断したりして、待つ必要なんかない。

受注になる・ならない、売れる・売れないに関わらず、私たちはクライアントへより良い未来への選択肢や方法があることを提案する責任があると思いませんか?

それが、「鬼十則その1:仕事は自ら創るもの」の意味ではないかと、私は今年学びました。

あなたは、何を学びますか?そして、どんな行動をしますか?考えてみる価値がありそうです。