テレアポでもっと効率よくアポを取るための魔法の言葉とNGワード対策/有限会社ピクトワークス 代表取締役 渡瀬謙

テレアポは新規営業の中でも最も心理的ハードルが高く、成果が出にくいと感じる営業手法のひとつです。多くの営業パーソンが「断られるのが当たり前」「ほとんど成果が出ない」と感じながらも、会社の方針や業務上の必要から日々取り組んでいます。

しかし、成果が出ない原因は「努力不足」や「運」ではなく、そもそもの考え方やアプローチ方法にある場合が多いのです。

今回は、元リクルートで営業成績ゼロからわずか4ヶ月でトップに駆け上がり、2,000名以上の高成績営業パーソンを育成してきたサイレントセールスの専門トレーナー・渡瀬謙先生が語る、「テレアポ効率を劇的に上げる魔法の言葉」と「避けるべきNGワード」を紹介します。

テレアポに苦手意識を持つ方や、成果が伸び悩んでいる方は必見です。

テレアポの本質は「売り込み」ではなく「リサーチ」

多くの営業パーソンは、テレアポを「アポイントを取るための売り込み活動」だと捉えています。

もちろん最終的な目的はアポイントの獲得ですが、その前段階として必要なのは「会う価値がある見込み客を探す作業」です。つまり、テレアポの本質は「売り込み」ではなく「リサーチ」です。

リサーチとは、自社の商品やサービスに興味を持つ可能性のある相手を見つけ出し、その後の提案の土台をつくる活動です。

多くの失敗パターンでは、このリサーチ工程を飛ばして「会ってください」「話を聞いてください」とお願いしてしまいます。その結果、相手は「これは営業電話だ」と警戒し、話を聞く前に断るモードに入ってしまうのです。

逆に、リサーチを前提にしたアプローチでは「あなたの会社や状況に当てはまるかどうかを確認しているだけ」というニュートラルな立ち位置で会話ができます。この時点で売り込みの匂いを消すことで、断られる理由が大きく減り、アポイント獲得率が高まります。

テレアポで避けるべき代表的なNGワード

リサーチ型のテレアポに切り替える上で、まず排除すべきなのが「営業っぽい言葉」です。特に代表的なのは次の2つです。

1つ目は「お世話になっております」。一見すると礼儀正しい挨拶ですが、初対面の相手にとっては不自然ですし、この一言で相手は「営業だ」と察してしまいます。結果として「どう断ろうか」というモードに入ってしまいます。

2つ目は「お忙しいところすみません」。これも定番のフレーズですが、相手が本当に忙しいかどうかも確認していないのに言ってしまうため、営業の型通りに感じられます。この一言もまた「売り込みが始まる」という警戒心を高めてしまいます。

さらに、営業研修や本でよく言われる「笑顔で明るく元気よく」というアドバイスも、テレアポにおいては逆効果になる場合があります。なぜなら、営業らしい元気さや押しの強さは、相手に警戒心を抱かせ、正確な情報を引き出す妨げになるからです。

渡瀬謙先生は、むしろ「低めで落ち着いたトーン」「静かな声」「淡々とした態度」を推奨しています。これにより相手は身構えず、冷静に会話に応じてくれるようになります。

テレアポの魔法の言葉「ちょっとお伺いしますが」

リサーチ型テレアポの核となるのが、「ちょっとお伺いしますが」というフレーズです。会話の冒頭で社名と名前を名乗った後、この言葉で質問に入ります。

例えば、「ちょっとお伺いしますが、今〇〇のようなサービスをお使いでしょうか?」といった具合です。この表現は押し付けがましくなく、自然な形で情報収集に入ることができます。

さらに、質問内容は「売り込み」ではなく「調査」に見えるように設計します。

例えば、オール電化の営業であれば「この設備を導入すると年間10万円電気代が安くなる場合もあれば、逆に上がってしまう場合もあります。御社の場合どちらになるか、少し調べてみませんか?」という形です。

このアプローチでは、相手が得をする可能性があることを提示しつつ、損する場合もあると正直に伝えます。これにより、相手は「検討する価値があるかもしれない」と感じやすくなり、話を聞くハードルが下がります。

営業感を消すための態度と話し方

リサーチ型テレアポを成功させるためには、言葉だけでなく態度や声のトーンも重要です。明るく元気な営業スマイルは、訪問営業やイベントでは有効ですが、テレアポでは逆効果になることがあります。

電話口では、相手はあなたの表情が見えません。そのため、声の印象がすべてです。

渡瀬先生は「低く落ち着いた声」「ゆっくりとした話し方」「感情を抑えた淡々としたトーン」を推奨しています。これにより相手は「押し売りではない」と感じやすく、自然な会話の流れが生まれます。

また、営業経験が長い人ほど無意識に「営業っぽさ」が出てしまうため、自分の通話を録音して確認することが有効です。録音を聞くことで、自分でも気づかなかった癖や余計な言葉遣いを修正できます。

テレアポ成功率を上げるための思考転換

リサーチ型テレアポの大きな利点は、「断られることが当たり前」という前提を捨てられることです。営業的な第一声や態度を取らなければ、相手が身構える理由がなくなり、話を聞く姿勢を持ってくれる確率が高まります。

さらに、この方法では「総じて相性の良い見込み客を逃さない」という効果もあります。従来の営業的アプローチでは、実は相性が良く契約に至ったはずの相手でも、第一印象で警戒されてしまい、話を聞いてもらえないまま終わるケースが多くあります。

リサーチ型ではこうした機会損失を大幅に減らすことができます。また、テレアポに限らず、商談やヒアリングでも「まだ調査中」という姿勢を持つことで、相手からより率直で正確な情報を引き出せるようになります。

結果として提案内容の精度も上がり、成約率の向上につながります。

まとめ

テレアポで効率よくアポイントを取るためには、従来の「売り込み型」から「リサーチ型」への転換が不可欠です。そのためには、まず営業っぽいNGワードを排除し、「ちょっとお伺いしますが」という魔法の言葉で会話をスタートさせます。

態度や声のトーンも、低く落ち着いた静かな印象を心がけることで、相手の警戒心を和らげることができます。

この方法は、単にアポイント獲得率を上げるだけでなく、相性の良い見込み客との接点を増やし、最終的な成約率や売上にも直結します。テレアポに苦手意識がある方や成果が伸び悩んでいる方は、今日からでもこのリサーチ型アプローチを試してみてください。

きっとこれまでとは違う手応えを感じられるはずです。

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