米テスラのCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)がマイナスに!「売ってから作る」にシフトすれば、資金繰りの悩みは解消できる

製造業では、原材料調達から生産、代金回収までの期間を示す「キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)」という指標があります。

このCCCについて、米テスラが2021年度にマイナスに転じたとのこと。2012年の量産車の生産開始から初めてのことです。CCCがマイナスというのは何を意味するのか、わかりますか?「運転資金がいらない」という意味なんですよ!(そ、そんなバカな。。)

普通は、原材料調達→生産→代金回収という順にプロセスが流れ、かかる期間をいかに短縮化するか、債権回収を早めるかを工夫するわけです。

しかし、米テスラのCCCがマイナスというのは、普通とは違い、代金回収→原材料調達→生産の順にプロセスが流れていることを意味しています。受注生産に近いということです。調達や生産の前に、すでに顧客から代金回収が済んでおり、キャッシュが手元にある状態であることを意味します。

うちの会社では、教育研修や情報出版が中心です。無形サービスがメインです。

基本は前金でお支払いをいただいてから、商品サービスの制作や役務提供が来るフローであるため、製造業で言うところのCCCは常にマイナスの状態ですが、これは同様の事業を行う他社でも実現しやすいため、競争優位性にはなりません。

しかし、多額の設備投資などを必要とする製造業でCCCがマイナスというのは、競合他社では簡単には真似できない優位性です。米テスラの強さ、仮に販売数が伸び悩んだとしても、キャッシュフローが逼迫しにくい状態を作れており、経営の盤石さを象徴していると感じました。コストコントロール、利益確保もしやすいですよね。

私たちが学ぶべきことがあるとすれば、「作ったから売る」ではなく、「売ってから作る」にシフトするか。

無形商品サービスが中心の私たちは、売れるかわからないもの、事業として成立するかわからないものに、準備期間や先行投資をすることを極力避けます。スピードの遅れと不要なリスクをとりたくないからです。

そのため、商品企画をある程度固めた後、実際の商品サービスを作る前に、テストマーケティングで「先行予約」「テスト販売」という形で先に売ります。もし売れなければ作りません。さっさと撤退します。売れたら、もちろん作ります。

製造業や有形商品であっても、近しい状態は作れないわけではありません。実際にやっている会社はあります。なので、「売ってから作る」にシフトする方法を考えてみましょう。

そうすれば、コストコントロール、利益確保もしやすくなりますし、なにより先にお金が入ってくる状態になるので、資金繰りに悩むことはほとんどなくなりますよ。