ピーチ・ジョンのスマートブラが累計79万枚売れている「企画コンセプト」の秘密

ブラとは無縁な私が、ピーチ・ジョンが販売する下着「スマートブラ」に感動した話です。「ブラってそんなに奥が深いの?」と。スマートブラは、薄着になる夏に向けて、”痩せ見えしたい”という女性に応える下着であり、身につけるだけで”見た目体重”を減らせるそうです。

私はマーケターであり、セールスライターなので、職業柄、TV通販番組やインスタ広告、YouTube広告なんかをよくチェックします。以前は24時間ショッピングチャンネルのQVCで、今では有名な美顔ローラーの販売新記録を打ち立てたくらいですから、TV通販や動画広告にはこだわりも強く、特によく見るんです。

それでいつも思うわけです。「んなわけないでしょ!」と。「飲むだけで痩せた」とか「乗るだけで足腰が鍛えられる」とか「これ1つで○○ヤード伸びた」とか。思わずツッコミを入れたくなるわけですよ。たぶん、あなたも同じですよね?笑 

でも、うまい広告や売れる展開というのは、その後に必ず、「おっ、もしかしたら本当かも...」と思わせるような信頼性のバックアップが、ものすごい説得力で訴えかけてくるわけです。

今回感動したピーチ・ジョンのスマートブラ。身につけるだけで”見た目体重”を減らせる?痩せたように見える?そんなわけないと思いませんか?

まぁ百歩譲って、ご年配の方向けのデザインがあんまりパッとしない補正下着なら分かりますけどね。スマートブラは、結構シンプルで可愛いデザインなのです。

どういうメカニズムなのかというと、幅広なサイドベルトで脇からはみ出す肉を抑えて、肩からウエストにかけてのラインを真っ直ぐ見せるそうなんです。

そして、バストを中心に寄せて立体感を出すことで、体のサイド部分に幅広の影を作り、目の錯覚によってスッキリ細く見せるというわけです。

要するに、正面から見た左右の横幅ではなく、前後幅を立体的に作り、幅広のサイドベルトによる影が前後幅をより強調させることで、相対的に”痩せ”をつくる構造なのです。

着想のヒントは小顔メイクとのこと。陰影のつくり方がポイントですね。

20代後半〜40代から人気で、2019年7月の発売から累計79万枚を売り上げているそうです。

私が感動したのは、「身につけるだけで”見た目体重”を減らせる」というビッグアイデアやコンセプトに対して、それを裏付ける事実やメカニズムがあっさりしていること。今まで美容・健康ジャンルの商品サービスのマーケティングも経験してきた私には、「あ、そんな感じで売れちゃうのね」という感覚。

現代広告の父、デイヴィッド・オグルヴィも、「ビッグアイデアのない広告に大当たりはない」みたいなことを言っていました。商品企画開発も同じですね。ビッグアイデアが9割、コンセプトが9割です。

いまいちなアイデアやコンセプトをいくら理屈や論理で固めたところで、グッとはきませんからね。

一瞬で心をつかむピーチ・ジョンのスマートブラに感動しました。私は買いませんけど笑