売れる仕組みで9割決まる!年商4千万円の雑誌広告代理店が1年で4億円に成長できた秘密

私は20歳の頃、雑誌広告代理店の完全歩合制営業マンとして働き始めました。

当時の私は、早稲田大学理工学部3年生。大学の単位を落としまくって崖っぷち。留年しそうになるのを、なんとか避けるために必死の毎日でした。なんとか夏までには、授業や課題に追われる日々から抜け出し、無事に4年で卒業できそうな目処が立ってきた時、私は当時メジャーだった求人情報誌フロムエーで募集を見つけたのです。

CanCamやDomani、Soupといった有名女性ファッション誌の広告枠を販売する仕事。1枠あたり15万円〜50万円。大学や短大、専門学校、スクール向けに生徒募集のための広告を販売する仕事でした。

販売価格の30%が成果報酬になる契約内容でしたが、何十時間、何百時間働こうが、成果があがらなければ、報酬はゼロ。それが、完全歩合制のルールでした。

その会社は、立ち上げてまだ3年か4年目、社員数名のベンチャー企業。年商はまだ4千万円程度。

一般に営業の仕事というと、当時はまだまだ古い考え方が当たり前の時代でした。気合と根性の精神論9割か、朝から晩までテレアポや客先訪問をするか、お客にペコペコ頭を下げてのお願い営業をするか。

でも、雑誌広告代理店の社長は、違う考えの持ち主だったのです。

売れる仕組みファースト

彼は、営業や販売活動を「売れる仕組み」として捉えていました。

見込み客との接点を作るところから、契約・受注、リピートしてもらうまで、一貫したプロセスがあり、一つひとつに明確なやり方やルールが決まっていました。

たとえば、テレアポにはトーク原稿があり、商談の進め方にも台本がありました。

いつどのような質問をするか、その答えにどんな言葉を返せばいいか、明確に決まっていたのです。誰がやっても、短期間に高確率で成果をあげられる方法が隅々まで確立されていました。

つまり、私たち営業メンバーに求められることは、その方法を忠実に実行することだけ。とてもシンプルでした。

個人の成長も仕組みの中で

最初の2ヶ月、私は社長に教えられたとおりのテレアポ原稿、商談の台本どおりにやりました。でも、約500時間の営業活動をしたにも関わらず、雑誌広告は1件も売れませんでした。1円すら報酬を稼ぐことができませんでした。

悔しかった私は、自分のテレアポや商談の音声を録音して、すべて紙に書き出してみました。そして、社内で一番売っているトップセールスの音声もこっそり録音して、比較しました。

その結果、同じ原稿、同じ台本をもとに営業しているのに、何十箇所もの違いがあったのです。

「自分では台本どおりにやっていると思っても、結構ズレるものだな」

大学で構造力学や都市工学を専攻していた私は、広告やマーケティングなんてまったくの無知。社長や先輩から熱く指導を受けると同時に、毎日書店に通っては足がガクガク震えるまでビジネス書を立ち読みしたものです。営業やマーケティング、販売心理学の本を手に取りました。

毎週末には、住んでいた寮近くの茗荷谷駅のサイゼリアにドリンクバーとミラノ風ドリアで開店から閉店まで居座り、無我夢中でセールスライティング(集客や販売のための言葉や文章をつくる技術)を勉強しました。

社長の作った台本の裏に隠されたメカニズムを理解したかったからです。

まるでエジソンが数千や数万回くり返した科学実験のように、仮説・検証・改善をくり返す毎日。その結果、3ヶ月目には40万円、4ヶ月目には100万円を超える報酬をいただけるようになり、13ヶ月連続で営業成績トップを維持することもできました。

その後、事業部を丸ごと任されて、30名ほどのフルコミ学生営業チームにも同じように教えて、1年で事業部の売上は4千万円から4億円に成長しました。

売れる仕組みが9割

営業や販売の成功は、センスや才能、気合や根性で決まるわけではなく、一貫した「売れる仕組み」なのだということを学びました。

誰がやっても短期間で成果が上がるようになり、きちんと知識やスキルを学んで改良すれば、さらに売れる精度を高めることができるということも経験しました。

業種業態を問わず、規模を問わず、本質はいつも同じ。私たちがやることは、、

  • どんな売れる仕組みをつくるか(全体設計図)
  • どんな部品やパーツが必要か(施策、打ち手)
  • どのように仕組みを動かすか(システム、チーム編成)
  • どんな成果を期待できるか(費用対効果、数字、利益)
  • 誰がいつなにをどこまで進めるか(TODO、実行管理)

結論、ビジネスを「売れる仕組み」「顧客と利益を生み出す仕組み」と考えましょう。

そうすれば、どうすれば事業が伸びるか、何をやるか・やらないか、といった意思決定にも迷いがなくなるはずです。